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【なぜマティーニは流行らないか?】

 

何が悪いというわけではないが、一度行っただけで、「次はないだろう・・」と思う店がある。マティーニがまさにそういう店である。
努力はいろいろしている。たとえば、送迎。吉原には送迎をやらない店も多いが、電話して上野周辺にいるむねを伝えると「10分以内で参ります、白のクラウン55番です」と対応がよい。が、印象が良かったのは、そこまでであった。運転席の灰皿には「Martini staff Nosmoking」などと書いてあるが、送迎車の中は古く、少々不潔であった。少し、匂いもした。

店につくと、5〜6人の男子スタッフがいて、一様に迎えてはくれるのだが、みな腰が高い。膝をつくとか、相手の視線の下に入るなどという思想は、はなから持ち合わせていない様子である。礼節にみちた笑顔もない。慇懃に挨拶しているが、私には「あーい、いらっしゃーい」としか聞こえない。フロントは事務仕事に忙しいのか、目の前を通っても顔もあげない。

待合室。大きめのテレビからは高校野球の放送が甲高く聞こえてくる。やかましい。水槽には熱帯魚?が泳いでいる。飲み物はメニューからの注文である。こういう店に行ったときには、かならず熱い日本茶を頼むことにしている。アイスコーヒーやコーラを淹れるのに技術や心はとくに要らないが、日本茶を点てるには、それ相当の経験と真心がいるものだ。期待はしていなかったが、果たして出てきたのは、「色のついたお湯」であった。

ボーイらしき男が入ってきた。髪が伸びてだらしがなく、全体に品がない。いやだなぁ・・と思っていたが、相手は写真を4枚もち、堰を切ったように喋りだす。まず写真を2枚出して、総額6万円のキャンペーン価格ですとこの2枚のなかから選んでいただきますという。ホームページでは、総額8万円のところキャンペーン中につき、指名がなければ2万円引きの総額6万円で案内すると打ち出してあったのである。正規のお値段出していただけるんでしたら、こちらの2枚の女の子から選べます・・という。

>6万円の女の子は、はっきり言ってうちの店のなかでも20人中15位とか16位とかのレベルの女の子なんです。
>やっぱり私は、お客様にもう一度来て頂きたい、ああよかったなと感じてもらいたいわけなんです。
>だから、できましたら、この8万円の女の子で遊んで頂きたいんです。
>とくに、この桜木さんなんかは、年齢的にもお客様と大人のお付き合いができるすばらしい女の子なんです。

「20人中15位とか16位とかのレベルの女の子」・・・店の立場でこういう言い方はないだろう。
また、 ホームページでは総額6万円で遊べると打ち出しておきながら、来店してから8万円に釣り上げる。ある種の振替である。総額8万円前払いだった。

キャストの接客は、愛想もなにもなかった。顔が合った瞬間に笑顔の出ない人は、接客向きではないとつくづく思う。ベッドはマグロ。マットは手抜き、椅子なし。何より、即尺なしの「即ベッド」であった。夏場だからか・・・?
サービス内容・接客心、どれをとっても大衆店以下であった。

上がり部屋。といっても案内前の待合室である。座った場所も一緒。ほかに客らしき姿もない。
件のボーイ氏が、得意げに「よかったでしょう」といわんばかりに聞き込みにくる。で、アンケートをおいて記入してくれという。仕方がないので、記入する。やたらと細かいアンケートであった。次回指名する・指名しない・・・という欄は、やはり書きにくいものである。
アンケートを書き終えたころ、別のボーイ氏がアンケートを元にした聞き込みらしき話をしにきた。一応、100点をつけてあるので、安心した様子。こうして店のレベルは気づかないうちにどんどん低下していくのだと思った。悔しいので、一言「サービスは普通。言うほどではなかった」と言った。が、「はぁ・・」というばかりで「どの点が・・・」とも聞いてこない。顧客満足度をとことん追求するという姿勢もない様子である。

かつて雄琴のフォーナインでかなり突っ込んだ聞き込みを受けたことがあった。そこそこ自信のある女の子であったろうに、「お気づきの点はないか、本当にないか・・」と食い下がって聞いてくるスタッフがいた。サービスは申し分なかったのであるが、実は、臭いがきつかったのである。しかし、こういう臭いに関する苦情は言いにくいものであるから、黙っていた。うるさくない程度に、しかし顧客満足度(CS)へのこだわりをもって聞き込みをするスタッフに根負けして、「最高の満足を追及するというお店の姿勢に敬意を表する意味で・・」と前置きして、臭かったと苦情を述べた。
あるいは前にも同様の苦情があったのかも知れない。「限りなく素人さんに近い子だもので・・」と言っていたが、最高級を名乗る店にあってありえない失態である。しかし、こうした苦情もそのスタッフの顧客満足度(CS)へのこだわりをもった聞き込みなくして掘り起こしえなかったものである。
まことに、店のサービス水準を維持するのは、現場スタッフの顧客満足度(CS)へのこだわりである。

帰りは、品のないボーイ氏が上野駅まで送ってくれた。気が短いのか、前の車にクラクションを鳴らしたりしていた。
送迎車のBGMにはずっとサザンがかかっていた。8万円の店でサザンはいかがなものかと思う。やはりクラッシック・ジャズ以外はだめだと感じた。
少なくともジャパンポップスをかけることで、高級感が演出されることもなく、好印象を得られることもない。サザンをかけることは、運転する者の趣味ともとられかねない。サービス・ビジネスに徹していないから、趣味が入り込むのである。

【DETA】
吉原マティーニ
http://www.rosso-martini.com/
120分 80,000円