■男子従業員 ・・・(省略)・・・ われわれのイメージする、ソープランドの男子スタッフの姿とは、たとえて言うならば、高級ホテルのボーイのようなものである。身なりは正しく清潔、言葉遣いは丁寧で洗練され、笑顔でお客様の心を溶かすような、明るくさわやかな姿である。お客様が主役であることを十分理解し、目立たず、黒子に徹しているような姿である。そんなスタッフに案内されれば、どんなにか気持ちのよいことであろう。 ところが、金津園では、いまだに天然記念物のような従業員もちらほら見かける。髪は茶髪で長髪、黒いシャツに柄物ネクタイ、色物ダブルのスーツで手には指輪、近寄ると安物の香水のニオイ、いかつい顔に口ひげ・・・。ヤクザともホストとも、いわく言いがたい、名状しようのない不思議な雰囲気である。こういう格好を好んでする御仁は何をしたいのだろうか。ホステスの気でも引こうとしているのだろうか・・? 接客のプロに徹するなら、それなりの格好と態度がやはり必要であろうと思う。お客様が光り輝くために、自分が黒子となる。男子の接客には、そういう考え方が基本にすえられるべきである。 ■社員=男子スタッフの課題 (幹部陣の指導能力の問題) 部長・店長・主任ら会社の幹部陣は、そもそも店と会社全体を指導する立場にあるものとして、全人格的に仕事に没頭しなければならない。誰よりも働き、必要以上の休みや休憩などはないものと思わなければならない。これは、あらゆる組織において責任ある立場にある者の宿命である。こうした決意を持てない者は、幹部たる資格がない。むしろ幹部になるべきではない。 風俗業の幹部にありがちな、夕方に出勤し、少し顔を出したらあとはパチンコにうつつをぬかし、終わりがけに金だけもって飲みにいく。こんな幹部のもとでは会社の成長は到底望むべくもない。社員は勤労意欲を削がれ、店の隅にはほこりがたまり、ホステスの仕事はいつの間にかいい加減となり、職場が惰性に支配される。こうしたダラ幹の指導能力のなさによって、事業は傾いていくのである。 われわれは、こうしたあり方とは無縁である。幹部は率先して店の運営に携わり、的確に指導し、問題が起きたときにはすぐに対処できる体勢を常にとっているべきである。 さらに幹部は、店と会社を発展させるために、営業能力の研鑽に邁進すべきである。新しいアイデアと時代を先取りする能力、そして、それを日々の営業につなげていく能力である。 また、幹部は自分自身のそうした指導能力を高めるための勉強を惜しんではならない。なによりも、自らの職業であるソープランドの仕事内容に関して常に研究と勉強を怠らず、誰よりも熟達していなければならない。そのためには、自ら投資し、全国の高級店をまわり、女子の仕事・男子の仕事を覚えあるいは盗まなければならない。また、そうした努力を通じていつでも講習できる内容と技術を身につけていなければならない。 また、そうした専門知識と同時に社会的に通用する一般教養の習得にも努力すべきである。 ・・・(省略)・・・ また、幹部はミーティングを価値あるものとするため、その準備に全力を注がなければならない。ミーティングは、男子スタッフの日々の仕事内容の点検であり、われわれが進むべき道を明らかにする唯一の場所である。スタッフは、このミーティングの場所で自らを点検し、意見を表明し、全体的意思一致をかちとっていくのである。ミーティングが安易な「ご苦労さん会」であってはならない。 (H問題の教訓) ・・・(省略)・・・ (停滞主義) 一部において「自らを飛躍させるための一切の努力と挑戦を放棄してあるがままの自分をどこまでも温存し、一方で旧態依然とした昔ながらのやり方を固持しようとする傾向」が生じた。時代は移り変わり、あるいは発展し、それにしたがってわれわれに求められる能力も変わってくる。常に時代を先取りしながら、新しい戦略を準備していかなければならない。それを放棄したところに、会社の発展も、したがってわれわれの未来もないのである。 停滞主義の第一は、パソコンとインターネットを自ら習得する努力をあらかじめ放棄してしまったところにある。しかし、いまやパソコンは風俗に携わる人間にとって欠く事のできない必須のツールである。パソコンなしに、あるいは、インターネット=ホームページなしには一日たりとも営業できない、それがわれわれをとりまく現在の状況である。メルマガを抜きにしては日々の集客ができない、出勤データベースがなければ毎日の予約も埋められない、写真の更新を抜きにしてはHPと店に興味を持ってもらうことすらできない、それが現実である。さらにいうなら、思うようなHPを作り、それを豊富化し、自ら更新する力がなければ、ネットを通じた宣伝戦に勝ち抜いていけない。これは、HPを作れる人間を雇って、それを間接的な自分の力にすれば事足りるという問題ではないのである。好むと好まざるとに関わらず、今や集客はインターネットの持つ巨大な力を利用する以外にない。利用する主体の側にネットに関する知識と技術は何があっても必要不可欠なのである。 それほどまでに重要なネット戦略を担う決意を放棄したとなれば、やることがなくなってしまうのは理の当然といわなければならない。 時は流れ、時代は常に進歩し、技術は革新される。古いやり方にしがみつき、そのあり方を温存しようとする限り、時代に取り残され、化石とならざるを得ない。この点、あたらしい課題に向かって突き進む姿勢と不断の勉強を、われわれ社員全体の確認としておきたい。それをぬきにしては、個人の成長も会社の成長もないのである。 (退店組の教訓) 退店組に教訓にはいろいろなものがあるが、心の底から会社の指導を受け入れることの大切さ、ともに働く仲間と心を合わせて事に当たることの大切さ。それ以上に大切なことはないということを確認しておきたい。 (個別主義・地方主義) 店舗間の確執の教訓も、風化させてはならない。ロイヤルの客数が圧倒的に多かったころ、ロイヤルのフロントに座って客を送っていたことをもって、ティファニーを立ち上げたのは自分の力だと主張するような傾向が生じた。しかし、そうした考え方は、やはり間違っているし、そういう態度はかならず店舗間の対立を引き起こす。 社員は、どこの店舗に配属されていようと、会社全体の利益のために力を尽くすべき であって、個人主義・地方主義はとことん排除すべきである。共同性の確認という点で、こうした傾向は批判的に教訓化しておかなければならない。 (待機主義) 一部において自ら飛躍するための努力を放棄し、待機主義に陥る傾向が生じた。ここ一番飛躍を求められたとき、自分自身の限界と対決し、命がけの飛躍をめざすのではなく、なんどもチャンスを与えられながら、そこから逃げ続けるという傾向である。パソコンに習熟しようとしない。結果として、HPの更新、写真の加工、メルマガを使った宣伝戦に、大幅な遅れをとることになった。待機主義は、その個人の成長だけでなく、会社の成長を押しとどめるひとつの典型として教訓化すべきである。 ・・・(省略)・・・ ・・・(省略)・・・住民票・保険証・免許証をはじめ社会的基盤の整備は火急の課題である。住民票が他府県にあるもの、住民票の住所と免許証の住所が違っているもの、国民健康保険証のないものは、ただちに対策をとるべきである。はっきり言うならば、社会的基盤が整備できていない人間は、社会人ではないのである。また、自覚あるもの、指導的地位にあるものは、早めに寮を出て、自分のマンションと車くらいは準備すべきである。まずは法的社会的基盤の整備、そして経済的基盤の建設である。これができない人間は、社会人=会社人とは言えず、所詮デラシネ(根無し草)にすぎないのである。 |