次に 商品の宣伝 について。
仕入れた商品が効果的に宣伝され、結果として来店=販売につながるために必要な課題とはなにか。どのような宣伝が効果的といえるのか。おおまかにいって、必要な情報が的確に、また時宜(じぎ)にかなうかたちで供給されることであると思う。また、消費者にとって選択肢があまりにも多い今日の情報事情を考えると、他を圧倒する情報量の多さが求められると同時に、ある種の「 囲い込み 」も必要となってくるのではないかと考える。ただただ宣伝量を多くするというだけではなく、宣伝の質・媒体・方法、その他において綿密な分析と検討は、どうしても必要になってくると考える。
さて、効果的な宣伝とはなにかを考えようとしたとき、非効果的な宣伝の実例をあげ、その対比において考えると大変分かりやすい。
他店舗の宣伝に関する漫遊記その他の雑誌・HP上に散在する「顔出し写真」にまずは注目してみたい。決してそれとしては異性の注目を引かないつくりの顔をそのまま出そうというその宣伝の意図するところはいったいどこにあるのだろうか。そこには宣伝に関するいくつかの誤解が存在しているように思う。
まず、「私の顔はかわいい」というホステス本人の誤解である。次に、顔出ししてほしいという本人の希望をそのまま受け入れている店側の誤解もしくは判断の誤りである。そして、「顔出しすればPが鳴るかもしれない」と、考えているホステス・店=宣伝主体の、需要に関する誤解である。
金津園ワールドにあまたリンクされているホステスの個人HPはどうか。
結論的にいって、そこにあるのは、宣伝を目的としたものというより、ホステス個人の趣味の世界とでもいうべきものである。商品としての自分自身を効果的に宣伝しようというものではなく、世の中にあふれている個人趣味サイトを真似てつくってみた・・・といったものだといえる。
たとえば、「ジュンの気楽な1日」。・・・「今日はかなりの暇ちゃんでジュンは TV のお守りをしていました。ちなみに明日も暇そうです☆明日のお守りは嫌だよ☆誰かジュンに会いに来てくれですわ」
たとえば、「りんのポスト」。「久々に会った友達と朝まであそんでまった m(__)m でも楽しかったけどね。おねむなので今から寝ます…」「今日はほとんど寝てた…。ブタさんになりそぅ (*_*) 今再放送の朝ドラにはまり中 」
たとえば「鈴の音」。「欝パワー MAX !!今日は本当に何もしませんでした。マジ布団と冷蔵庫とトイレと猫の世話だけ。駄目なソープ嬢で、すんません・・・。ご予約飛ばしてしまった方、できたらもう一度チャレンジしてね(笑)」
はたしてこのようなサイトとそこに描かれた本人像=肉声が、顧客の需要をうまくすくい上げてP指名につながるものであるのか、甚だ疑問というほかはない。むしろ、当該のホステスのイメージをダウンさせる結果しかもたらしていないのではないかとも思えるわけである。自分の仕事をビジネスとしてとらえ、自らの商品価値を高めることに真剣になるのではなく、趣味のためだけにつくっているのであり、そこで満足されるのは自分自身の顕示欲だけなのであって、このようなサイトは店側の判断によって禁止されてしかるべきであると考える。
※ホステスの個人 HP に関しては、雄琴のホステスが自覚的である。たとえば「ゴールドクイーン」や「マキシム」の HP にリンクされているホステスの個人 HP をみよ。化粧・髪型・衣装に凝ったそれ相当の予算をつかった撮影、吟味した写真とフラッシュを多用したインターフェイス、それらを通じた自分のイメージづくりにきわめて真剣である。
ホステスの HP であれ、店の HP であれ、雑誌の写真であれ、非効果的な宣伝の特徴は、「何を訴えたいのか」あるいは「何を訴えるべきなのか」がもともとはっきり自覚されていないという点にある。商品のどのような質が消費者に受け入れられるのかが分析しきれていないがゆえに、 商品の持つ多様な質の中から、とりわけ「宣伝に役立つ質」の見極めと抽出ができない ということなのである。結果として、顧客にとってどうでもよい情報が無自覚に流され、当然のことながら P 指名につながらないということになる。
宣伝が効果的に貫徹されるためには、主体と客体あるいは宣伝主体と宣伝対象との整合性ある関係が成り立つことがどうしても必要である。要するに、対象が欲するものを提供する、あるいは欲したくなるものを提供することによって、そこに繋がりをつくるということである。主観的で一方的な押しつけではなく、対象との生きた呼吸が、そこになくてはならない。たとえ、「顔出し」できるホステスさんであっても「出したいから出す」とか「出せるから出す」というのではなく、顔を出すことによって P 指名が期待できるから出すという判断が必要なのである。またホステスさんの宣伝に関し、「少しポッチャリである」とか「胸が小さい」など生身の人間として当然「瑕疵(かし)」が存在するわけであるが、マイナスポイントを隠し、プラスポイントだけを強調することによって、イメージ作りを優先するなどの努力である。
 
宣伝媒体
さて、われわれが現在、宣伝媒体として使用できるものは、雑誌・ HP ・メルマガの3つである。細分化するならば、以下の 10 種になる。
•  漫遊記
•  ヘブン
•  全国誌〔全国風俗誌・週間大衆〕
•  PC 版公式 HP
•  携帯版公式 HP
•  携帯版最新情報
•  ホステス別特集 HP
•  PC 版公式メルマガ
•  携帯版公式メルマガ
•  夜遊び版 VIP メール
これらは個別的に独立した媒体というよりも、それぞれが相互にリンクしあい、連動しながら全体としての R-GROUP のイメージを日々作り出しているのだと考えたほうがより正確である。われわれは、これらの媒体の持つ特殊な属性と役割を理解し、その媒体がもっとも効果的に顧客の購買意欲を刺激するやり方を考えていくのでなければならない。つまり何をどのようなものとして、そして何を使って、どのように伝えていくのかということである。
 
インターネットを通じた宣伝
まず、 PC 版・携帯版を含めた HP およびメルマガなど、インターネット関連の宣伝媒体から考えてみたい。
総務省の「平成 16 年通信利用動向調査」によれば、インターネットの利用者数は 7948 万人、人口普及率は、 62.3 %に上る。また、世帯のブロードバンド利用率が 60 %を超え、逆に ISDN 、電話回線(ダイヤルアップ)は減少しつつある。また、個人のインターネット利用端末の割合をみると、パソコンからの利用が最も多く、 6416 万人、携帯電話・ PHS ・携帯情報端末からの利用者は、 5825 万人(前年比 1341 万人増)で、モバイル化が一段と進展している。パソコンと形態電話を併用する人は、 2 人に 1 人( 54.1% )という結果である。
総務省の調査による「インターネットの利用者数」は、 6 歳以上を対象とし、パソコン・ PHS ・携帯電話・携帯情報端末・ゲーム機・ TV 機器などのうち、 1 つ以上の機器から利用している者を対象としていることから、ストレートにわれわれの宣伝対象とする層の利用率を表したものではないが、インターネットの世帯普及率が 86.8 パーセントとなり、携帯電話利用者の過半数が「 10 回に 4 〜 6 回以上インターネットを利用」(同時に音声通話のみの利用が大幅に減少)という結果を見るとき、宣伝戦におけるインターネットの優位性は疑いようのない事実というほかはない。実際、 5 〜 6 年前まで、インターネットの利用人口が 10 パーセント足らずであったことを考えると、驚異的な伸び率であり、謂うところの「ここ 5 〜 6 年で情報流通のあり方が全社会的レベルで根本的に変わった」という事実に、あらためて活目すべきである。
HP やメルマガなどのインターネットを通じた宣伝は、今や「あったほうがよい」というレベルのものではなく、それなくしては一切が成り立たない死活的なツールとなったということである。この時代の急速な変化に対応し、身震いするような緊張感をもってこの現実をとらえきるのでなければならない。
一方で、このような情報流通のあり方の根本的な変革は、必ずしもわれわれに不利な条件ばかりを強制するものではない。考え方=方法によっては、極めて有利な武器を手にしたともいえるのである。もともと TV ・ラジオなどの電波にせよ、新聞・雑誌などの活字にせよ、その宣伝のための手段はスタジオ・放送権、あるいは印刷所とその流通手段などの巨大な資本を所有する階級が握っているのであって、一個人や零細企業が同様の手段を手にすることなど出来ようもなかったわけである。しかし、インターネットの出現によって、 たとえ資本をもたなくても HP 作りの知識と手段、良いコンテンツさえあれば、たとえば一個人が大資本に匹敵するような宣伝力をもつことができるようになった ということなのである。(たとえば決して正確な比較とはいえないが、サンデー毎日の発行部数が毎週 16 万部、金津園ワールドのアクセスが一週間で 17 万であるという数字を挙げておく。)
さて、 HP ・メルマガなど総じてインターネットを媒介とした宣伝の最も重要な役割は、リアルタイムでの情報配信という点にあるといってよい。この場合に最も顧客の関心となる中心課題は、第一に具体的なホステスの出勤状態とその空き情報なのである。つまり商品の在庫とその販売可能数である。ほんの 2,3 年前までは、このような情報さえ、いったん目当ての店に電話をして確認しなければならない状態であった(しかも「振り替え」を前提とした店の場合、正確な情報を得ることすらできなかった)。しかし、本来それなりの紳士にあって風俗店に自ら電話をかけ出勤情報や空き情報を確認するという行為は、大変面倒なものである。面倒というのは、風俗店に電話をかけるという行為そのものが、大人の男性としてためらわれるような「格好の悪いこと」だということなのである。出来ればそのような行為は、予約の際の電話一本のみで済ませたいわけである。自分が、その劣情の解決のために風俗店の男子従業員と話すという行為のなかに、どうしても男としての「恥」を感じないわけにはいかない。そういう男性心理を、是非とも理解すべきである。
リアルタイムで更新される最新情報は、このような男性の心理を踏まえ、出勤とホステスの空き情報をお客様が携帯でアクセスすることによって直接自分で確認できるようにしたという点で、きわめて画期的なものである。お客様は、この携帯版の最新情報にアクセスすることで、出勤と空き情報を簡単に知ることができ、もし希望なら予約の電話を一回かけるだけでお遊びを約束されることになるわけである。風俗店に電話をかけることを何とも思わないお客様にあっても、このリアルタイムでの空き情報は極めて有用であって、本来のインターネットの特性を最も効果的に生かすものだといえる。
ここで、お客様の「囲い込み」に関してひとこと触れておく。東海圏の風俗店がソープランドのみならずヘルス・デリヘルを含め多様化し、また金津園 60 店舗との競合が熾烈を極める情勢下にあって、不特定多数の顧客層に対し広く宣伝を強める以外にも、既に獲得した顧客を囲い込んで離さない努力がどうしても必要となってくる。こうした観点をもって数ヶ月前から「夜遊びガイド」が顧客の囲い込みと称して VIP メール会員の再編管理を提案してきた。現行、新人情報・出勤情報その他がそれぞれ店舗別に配信されているわけであるが、受け取る側は一括 R-Group の VIP メール会員として登録されている関係上、 3 店舗の情報がメール会員全員に等しく(言い方をかえれば無差別に)配信される状態となっている。しかし、お客様の中にはたとえば新人情報だけがほしいとか、ロイヤルの情報だけがほしいという方もいるはずだ。だから、メール会員のニーズを細分化し、再編し、ニーズに応じた情報だけを配信するようにするべきだ、というのである。また、再登録に際して氏名・住所も登録してもらうという提案さえある(これに関してはある程度カスタマイズが可能である)。「夜遊び」は、これを顧客の囲い込みに役立つと主張してきた。
われわれは、お客様の囲い込みを一般に否定するものでもないし、それどころか、今後絶対に必要な課題であると認識している。また、「夜遊び」のいう「情報の選別配信」も意味のあることだとは考えている。
しかし、顧客を囲い込むということは、けっしてメール会員の再編・管理が軸ではないとも考えているのである。もともと、顧客を囲い込むとはどういうことか。それは、@他店への流出を阻止する、ということであり、A繰り返しの利用を促進すること、である。その根底にあるのは、やはり根本的な支持者=ファンづくりであって、顧客をとことん R-Group のファン(信者)として組織しぬくということなのである。この人対人、スタッフ=お客様のつながりを抜きにしたところでの「囲い込み」論は、やはり意味をなさないと言わなければならない。(とくにわれわれの商業圏の規模を考えるとき、この人対人という契機は絶対的に重視されなければならない。)
さて、とはいえメールを通じた宣伝は、いまや HP とならんでインターネットを通じた宣伝戦の基軸的役割を果たすものである。もともとインターネットを通じて商品を宣伝しようとしているわれわれは、いってみれば インターネット販売をやろうとしている ともいえるわけである。インターネット販売の基軸は、いうまでもなくホームページとメルマガであって、 Yahoo にせよ楽天にせよ、ここにとことん力を注いでいるのは、あたかもインターネット時代以前の販売の基軸がパンフレットと DM であったように、この2つがインターネット販売の2大基軸だからである。
メルマガの構成その他に関しては、大手のメルマガを自身が購読し、そのノウハウを自ら習得する必要がある。メルマガは、 HP への招待状であると同時に、それ自身が宣伝の主役ともなり得るものである。魅力あるメルマガは、それだけでも読者の心をつかむことができるのである。
 
雑誌を通じた宣伝
雑誌といわずインターネットといわず、それがどのような役割を果たすべきであるか、あるいはどのような役割を果たすことができるのかは、時代との呼吸のなかで考えられるべきであることはいうまでもない。また、それぞれはまったく同じ任務を背負うわけではなく、それぞれが得意とする役割があり、その役割の分担を正しく理解して使い分けることが肝要であるといえる。
かつて雑誌は、風俗業のほとんど唯一の宣伝手段として、大きな役割を果たしてきた。店のシステム、ホステスの在籍とそのビジュアル(=写真)、アクセス方法など、来店につながるすべての情報が、この雑誌の誌面を通じてお客様に宣伝されて来たのである。だからこそ、各店舗は軒並みこの雑誌づくりに力を注ぎ、また雑誌社もその影響力の強さから、とくに 2002 年あたりまでは、あたかもひとつの「権力」であるかのように振舞ってきたわけである(とくに「 City Heaven 」誌。その高額な広告料は一種の独占企業気取りといってよい)。しかし、古参の同志は周知のとおり、 R-Group にあっては「 City Heaven 」との契約を解除した 2003 年の数ヶ月間も、一向売上が下がることはなかった。つまり、この時点において、すでに顧客の来店ルートは、「漫遊記」があったとはいえ、ほとんど 100 パーセント、ホームページ経由に移行していたと判断できるのである。
この事実は、雑誌を通じた宣伝のあり方の根本的な改革をわれわれに要請しているといえる。つまり、もし雑誌宣伝をまだ必要と仮定するならば、それはすでに顧客の来店ルートを創出するためのものとしてではなく、むしろ店の知名度とイメージづくりのためのツールとして存在しているのではないかということである。今年の上半期、ホステス応募のきっかけが HP よりも雑誌(とくに「 City Heaven 」)が多かったことからも、この点はとくに検討されなければならない。
このような雑誌宣伝の考え方の転換は、現行われわれが行なっているホステスの写真を中心とした誌面づくりを直ちに否定するものではないが、しかし、これまでのあり方を無批判的に継続することをよしとするものでもない。「 R-Group の現段階」でも述べたところであるが、声高な呼び込み文句がなくとも、高級感ある店のイメージづくりは、最終的に顧客の関心を決定づけるものとなるのであり、同時にホステス応募の最大の契機となるものである。
雑誌を通じた宣伝は、この点から最大限検討が加えられるのでなければならない。
一方、商品の宣伝という分野は当然にも顧客の開拓という分野と直結する。顧客の開拓=再開拓は、現場における接客を基軸的総括点としながらも、より広く裾野を広げる意味でネットの海を対象としたものとして考えられなければならない。
 
電話応対(予約の取り付け)
電話応対は、予約の取り付け=営業の命綱をなすものとして、最重要視されるべきものである。電話応対に関しては、一般的=社会的に蓄積されたノウハウがあるのであって、真摯にこれを学ぶべきである。
1.相手が見えない・記録が残らない・一方的である、という電話の特性を踏まえた応対を心掛けること。
2.電話をかけて頂いてありがたい、予約を入れて頂いてありがたい・・・という気持ちを表現すること。
3.正しい敬語をマスターすること。
4.予約を取ったあとに、名前を名乗り、責任の所在を明らかにすること。
5.総じて、現在、日本のビジネスシーンで一般的となっている電話応対の常識を自らのものとすること。そのために、他流試合してみることである。ビジネスというファクターを通してみた場合の電話応対は、その参考例をホテルの電話応対に見つけることができる。
 
 
対面しての接客(商品説明)、販売=集金
対面しての接客は、営業の要であり、男子スタッフの接客人としての力量が直接にも問われる場であって、われわれは、喜び勇んでこの課題を自らのものとしなければならない。
さて、接客における男子スタッフの仕事は、以下の何点かに整理される。
■予約を入れて下さっているお客様の名前、顔、履歴、来店方法、指名、タバコなど、接客に必要な、当該のお客様に関する情報があらかじめ頭に入っていること。これがなくては、そもそも接客は成り立たないのであって、これらの情報を徹底的に頭に叩き込むこと(もしくはデータ化すること)こそ、接客業の基礎中の基礎であるといえる。
■適切な場面で、きちんとした商品説明ができること。つまり、取り扱う商品のデータが頭の中にきちんと入っていること。われわれに引き付けていうなら、ホステスさんのデータ、つまりスリーサイズ・年齢・プロフィール・セールスポイントがきちんと暗記できていること、である。(商品知識を豊富に持ち、顧客の心をつなぎとめ、顧客のニーズを引き出し、顧客のニーズに応える商品の選定=販売ができること。)
■顧客の購買意欲を高めるための、質の高いカタログ=宣伝資料がそろっていること。また、質の高いそれらのカタログを製作すること。
■販売=購入は、セールスマンとの信頼がその架け橋となることを踏まえ、お客様と信頼関係を醸成するような会話=セールストークができること、である。
販売=指名予約・写真案内の確定と受付=料金徴収、案内=サービス料の代理徴収は、あたうかぎりの丁寧さと誠実=正確さをもって、執り行われる必要がある。料金徴収には、一般的にいって、窓口精算とテーブルチェックの2通りがあるが、われわれの場合は 100 パーセントテーブルチェックになる。自らお客様のテーブルに出向き、声を出して料金を正しく頂く。ここでの間違いは断じて許されない。特に 100 分と 130 分にコースが分かれている店舗の場合は、注意が必要である。また、会員・非会員で割引率が違うことにも留意しなければならない。お金の数え方にも、一定のルール作りが必要である。
また、お客様のお金(またはクレジットカード)を預かる場合には、素手で預かるのではなく、より印象のいいやり方として、たとえばブランドショップで行なわれているようなバインダーを使ったやり方も検討していくべきである。
 
アフターフォロー=安定顧客化
アフターフォロー、というのはつまり「聞き込み」と次回来店の取り付けであって、男子スタッフの接客の真骨頂は、ここにおいてこそ発揮されるべきである。アフターフォロー=聞き込みは、従来、@接客に当たったホステスのサービス内容を点検する、という意味合いと、Aお客様がどの程度そのサービスに満足されたか(顧客満足度= CS )をはかるという意味合いにおいてなされてきた。また、もし万が一ホステスのサービスが十分でなかったり好みが合わなくて、指名が頂けそうにないと判断された場合には、アルバムを用意してお客様にニーズにあったホステスを推薦し、同時に非会員様・ご新規様には、入会を勧めて、次回の来店につなげる努力をするわけである。
こうしたアフターフォローは、だいたいどこの店舗においても従来なされてきたものであって、それとしてはソープランドの通常のサービス以上のものとはいえない。大切なことは、これらのアフターフォローが、顧客情報の収集・管理と正しく結びついた文字通りのパーソナルサービスとして行われるかどうか、また、それが当該のお客様の好みや心理を熟知した具体的な人格=担当スタッフによって、「人間くさく」行われるかどうか、という点にある。要するに、同じアフターフォローをするにしても、通り一遍のマニュアルどおりの問答では、お客様の心に残るサービスにならないのである。誠実で正直で決して無理押ししないとか、好みを無視したごり押しをしないなど、やはり自分のことをよく理解しわかってくれているという安心感が、リピートの決定的な動機となるということである。また、そうしたサービスは、お客様に対して「店における自分の存在感」や、会員であることの優越感を実感させるものとなる。この存在感・優越感をお客様の心の中に生起させることこそ、接客の核心である。こうしたアフターフォローは、顧客情報がきちんと頭に入っているのでなければやりぬくことができない。この点からも接客の基礎としての顧客情報に基づいたサービスを、営業の根本にすえるべきである。顧客を安定させ、リピートの多い店づくりは、こうした男子スタッフの努力なしには到底実現しえないものである。
 
■さて、風俗をビジネスとして考えるといった場合、すでに述べたように、商品の仕入れから販売・アフターフォローまで、さまざまな段階が存在するわけであるが、いずれにしても利益を求め、顧客のニーズとの整合性を常に意識しながら実践を積み重ねることで、それぞれの課題はさらに深化し豊富化していくことができる。そうした問題意識が、今度は現場サイドから提起されることを真に期待するものである。