路線的な取り組みの概況とわれわれの決意

■はじめに
われわれが岐阜金津園においてソープランドの仕事をしていくのに、ある一定の問題意識と方向性をもって取り組みを始めてから、すでに数年が経過した。われわれは、この問題意識と方向性を「路線」と呼び、この路線に基づいて組織を運営し、また日々の店舗運営を考えるようにしてきた。サービスの内容にしても、男子の接客内容にしても、また雑誌やインターネットを通じた宣伝のあり方にしてもそうである。また、会社を作っていくうえで組織のあり方や指導系列のあり方にも注意を払ってきた。つまり、会社=組織をどう作り、その組織的実践をいかに行い、その実践を通じてどのような成果を作り出していこうとするのかというものの見方・考え方を、いっさいの基礎にあるものとして、とくに重視してきたのである。
考えてみれば、しかしそれはきわめて当然のことであったともいえる。実際、日々の営業にせよ、もし仮に「路線=戦略=戦術という観点のないまま行なわれるとするなら、それは、きわめて場当たり的で無方針な、したがってまた経験に頼ったやり方にならざるを得ない。そのようなやり方では、何を目標とし、またどこに到達地平を定めればよいかもはっきりせず、何に向かって努力しているのかさえ現場的には明らかとならず、目標を見失ってしまうことになりかねない」(「2005年下半期のR-GROUP組織方針」)からである。
われわれは、R-GROUP=われわれの会社での仕事を人生最後の仕事と本気で考え、全力でこの事業を確実なものにしていきたいと考えている。また、ここ(ソープランド)をスタートとするしかないわれわれが、この仕事で成功し飛躍していくためには、どうしてもその勝利を保証する哲学が必要である。それこそがわれわれがつかみ取った総路線なのであり、従ってまたスタッフ全員がこのR-GROUPの路線を学び尽くし、路線的な考え方・組織的な考え方を身につけていくことこそが、われわれの勝利を保証する絶対的な条件だといえるのである。そしてその路線に基づいた会社運営・店舗運営は、路線が目指す主要な柱である「大きな木」を作り出していく基礎となるものである。
さて、これまでに提起されている路線について振り返ってみたい。われわれの路線については、かならずしも方針や通達として文書で示されたものばかりではなく、日々の営業のなかで個別に指し示されることも多いが、とくに文書で提出されているものについて列挙してみよう。

■総括的な路線提起
「R-GROUPの現段階」(2004.12)
目指すべき姿と今の現状との間にあるものを探り、われわれがどこまで到達したのかをはっきりさせ、高級ソープランドとしての完成度(東海地区における覇権)を見極めるための総括と展望
「2005年下半期のR-GROUP組織方針」(2005.8)
■一人ひとりが接客人=組織人として成長し、R-GROUPの事業主体としての基礎を打ち固めよ
■ビジネスとしての風俗営業論をマスターし、サービスの本質に迫る仕事内容を作り上げていこう
■指導系列を正しく理解し、一切の仕事を組織的に考え行動せよ
■女子指導に関する文書
R-GROUP勤務の約束事2004.10
講習について2004.10
マットの手順2004.10
■適宜指示される通達
Rグループ通達001号2004.10
「接客中の喫煙に関しては、全面的に禁止です。接客中は、タバコを一切吸わないことを徹底させること。」
Rグループ通達002号(フロント用)2004.12
「【R-GROUP 勤務の約束事】をホステス全員に配布し、「決まりごと」を通じた雇用関係を意識化させること」
Rグループ通達003号(フロント用)
「携帯版全角132文字以内のメールを作ろう!」
Rグループ通達004号2005.2
「ホームページ、メルマガなど、徹底したWEB戦略を通じてP指名を大幅獲得せよ!」
Rグループ通達005号
新人入店ラッシュ ! わかりきっているが、注意すべき2つのこと
1、新人のデビュー戦をP指名の嵐で華々しく飾ろう!
2、R-GROUPの決まりごとをきちんと守らせる!
Rグループ通達006号2005.4.24
G.W.の10日間で、全部屋をフル稼働させよ!


「R-GROUPの現段階」(2004.12)は、われわれが路線的に組織運営を考え始めたもっとも初期の段階において提起されたものである。いま、R-GROUPの現状はどうなっているのか、どうすれば高級店として立ち上げることができるのか、あるいはそもそも高級店とはなにか・・・という問題意識について整理しながら考えた、いわば「高級ソープランド試論」である。2004年当時の組織的現状や誤謬についても思い切って把羅剔抉し、進むべき方向性を探っている。ただ、問題意識は2004年当時のものであり、現在の地平からすれば、とくにWEB戦略に関して初歩的な認識にとどまっている。
「現段階」から約半年後、ビジネスというファクターを通じてわれわれの仕事を見つめなおし、「ビジネスとしての風俗営業論」を考えようとしたのが「2005年下半期のR-GROUP組織方針」(2005.8)である。ここで特に力が入れられているのは、日々のわれわれの営業のあり方をビジネスティックに読み直す作業である。求人とはなにか、宣伝とはなにか、お客様に満足していただくとはどういうことか、・・・そういった基本的な毎日の仕事を、「ただなんとなく」ではなく、「ビジネス」としてやるとしたらどうすればいいだろうかということが述べられている。とくに男子の仕事を「セールス」と言い切り、自分の仕事をセールス論で考えようと提起している。
われわれの仕事を「ビジネス」というフィルターを通じて見ようとしたとき、大きくマーケティングとセールスに分けることが出来る。マーケティングは「商品を作り出すこと=需要を作り出すこと」であり、セールスは「商品を売ること=需要に応えること」である。

男子スタッフが抱える仕事は多岐にわたるが、このさい「男子スタッフの仕事はセールスである」と言い切ってしまおうと思う。あらゆる他の付随する仕事もセールスのために必要な諸作業と位置づけることが可能である。
(「2005 年後半の課題=ソープランドの営業をビジネスとして考える」)
こうした考え方は、昔ながらの金津園にはかつてなかったものである。そういう意味でわれわれは、金津園にビジネスを持ち込んだのだと言ってみたい衝動にかられるのだが、実はこうした考え方は、世の中どこにでも転がっている、きわめて一般的な常識でもある。経営の方法(論)そのものが一個の商品として高値で売買される今日のビジネスシーンを思い浮かべれば明らかなように、個人商店が企業化していく過程で、小企業が成長していく過程で、いずれの経営者もそうした「経営論」「ビジネス論」を必死で取り入れ、学びつくし、自らの仕事をビジネスとして純化させようとする。それはビジネスの成長の論理からいって当然のことなのである。また、対象となるフィールドがビジネスの論理にしたがって動いている以上、その「学び」がない企業は、競合する他社を相手にシェアを拡大していくことはできないだろう。
われわれが2005年当時において、ビジネスというフィルターを通じて自分の仕事を読み解いていくという作業を行なったことは、社会と隔離された金津園に生きるわれわれにとって路線的にして戦略的な営業を考えていくうえで、非常によいトレーニングになったというべきである。このビジネスティックにものごとを考えるという習慣は、われわれの仕事のあらゆる領域で今後も貫徹されていかなければならないと考える。(こうした問題意識の表現のひとつとして、遠藤店長のブログ「金津園ビジネス実践日記」がある。)
さて、その後は、まとまったかたちでの路線提起はしていない。「現段階」と「下半期の方針」の二つが現在のところ、総括的な路線=方針である。
今回の提起においては、この二つの路線内容をもう一度仔細に検討し、その実践を今日的に検証しながら、今後のわれわれの方向性を探っていきたいと考える。また、いくつかの新しい課題についても提起したい。