路線的な取り組みの概況とわれわれの決意 |
■二つの方針が提起したこと
まず、二つの方針が提起したことを振り返ってみたい。また、当時いいたかったことを今日的な地平から今一度読み解いてみたいと思う。
リアルタイム情報を柱とするWEB戦略を通じたこのかんの取り組みとその成果については、すでに多言を要しないであろう。この数年間は、思いあがっていうならば、われわれR-GROUPの金津園における怒涛の進撃そのものであり、われわれの創意工夫をこらした運営とそれが作り出す快進撃に、金津園全体が注視してきたし、また注視せざるを得ない状況をつくりだしてきた数年間であったといえる。それはある意味「路線の正しさ」ということだろうし、正鵠を得た営業論であったということだとは思うが、むしろそれは、客観的に求められる営業のあり方を真剣に実践したことの、つまりソープランドをビジネスとして対象化して取り組んだことの、当然の結果に他ならないのである。もしも、ビジネスに長けた商社商人が外部からこの業界に参入してきたとしたら、さらに綿密でビジネス論に裏打ちされた画期的な方法をもって、期待される成果を当然にも上げただろうと思われるし、それは、中小コンサルタント業の絶好の参入先となった昨今のデリヘル業界を見れば明らかであろう。逆にいうなら、金津園というある種閉鎖された、大手が参入しない業界=ステージであったからこそ、われわれの「路線」がとりあえず有効性をもったともいえるのである。
このことは、正しくも肝に銘じておく必要がある。
さて、金津園全体を眺めてみて、街総体として、ソープランドという仕事をビジネスとして対象化しきれていない面は、実際多分にある。WEB戦略しかり、接客論しかり、サービス論しかり・・・である。昔からある「伝統」や「しきたり」、あるいは必ずしも明文化されない「昔からのやり方」にしたがって運営され、景気のいい時代はそれでも十分に機能し、利益を生んできた。少なくとも、1998〜2000年くらいまでは、名古屋のヘルスという脅威があったにしても、集客において深刻な事態は生じてはいなかったと思われる。金津の街中をフリーの客が適当な店を探して其処ここで闊歩し、大衆店でも、朝の最初の案内から10部屋全部が埋まるとか、土日となればパーフェクト(つまり稼働率100パーセント)とか、大型店では1日100本の客入りを数えるような時代でもあった。しかし、それから4〜5年が経つと、フリーで駅から歩いてくる客がめっきりと減り、また、その頃ちょうど期を一にしてデリヘルが台頭し、ソープからの客離れが深刻になってくる。そうなってくると、もはや「昔ながらのやり方」は通用しない。景気のよさと競合のない、いわば東海地方の風俗独占状態にあぐらをかいたやり方はことごとく駄目になってくる。こと此処に至って、「女の子集め」や「宣伝」や「集客」といったソープ営業の基本テーマを、それとして真剣に考えなければならなくなってきたのである。同時に、インターネットがそうした「女の子集め」や「宣伝」や「集客」のあり方をも、根本的に変えてしまったという事情もある。
こうした事態にかんがみ、景気の低迷や台頭してくる他風俗に勝ち抜いて利益を確保していくために何が必要であるのかを、実際にも真剣に考え実践する必要に、業界全体が迫られたといえるのである。こうした認識が、われわれをして「路線」的な考え方へ向かわせた最大の事情であったといえる。
さて、「現段階」と「2005年下半期の方針」の2つにおいて提起した内容について振り返ってみよう。それぞれの方針の末尾に示された箇条書きを抜き出してみる。
【現段階】
営業戦略に関して
■宣伝戦略を飛躍的に強化し、ネット戦略をさらに推し進めていく
■雑誌を通じた効果的な宣伝を練り上げていく
■地方求人をさらに展開し、素人の獲得に全力をあげる
■男子スタッフは一人ひとりが接客のプロとして自分自身の「接客術」を練り上げていく
ホステスの指導に関して
■ホステスの成長を心から願い、厳しくも暖かい指導を強めていく
■サービス内容の充実と講習のレベルアップを実現する
組織建設に関して
■フロント担当者は実質的な店舗責任者としての自覚をもち、考え行動する
■幹部は指導部としての自覚をもち、自分自身の指導能力の向上のため不断に努力する
■社会人としての基盤整備をしっかり固め、地に足のついた生活律をつくる
【下半期の方針】
■男子スタッフは引き続き、一人ひとりが接客のプロとして自分自身の「接客術」を練り上げていく。とくに今後は「リッツカールトン式」のパーソナルサービスをR-GROUPの基本サービスとしていく。とくに、「リッツ」のクレド(credo)に代わるような、われわれ自身の接客哲学を作り上げる。
■フロント担当者は実質的な店舗責任者としての自覚をもち、考え行動する。とくに、商品の宣伝と販売に関しては、徹底してビジネスの視点からその戦術を立て、実践する。
■引き続き、ホステスの成長を心から願い、厳しくも暖かい指導を強めていく
■すべてのホステスに対し、再講習を強め、サービス内容の点検と向上をはかっていく。
■引き続き、宣伝戦略を飛躍的に強化し、ネット戦略をさらに推し進めていく。とくにWEB関連で出来ることは、すべてやり抜いていく。とくに、HPを通じた宣伝を、単なる「商品の宣伝」という段階から、たとえば「ライフスタイルの提案」のようなものにしていく。金津園と柳ヶ瀬をリンクするような「遊びの提案」をしていく。
■スタッフは、パソコンを使った自己表現を可能な限りやり抜いていく。
■雑誌を通じた効果的な宣伝に関し、さらに習熟していく。
■引き続き、幹部は指導部としての自覚をもち、自分自身の指導能力の向上のため不断に努力する
■沖縄・札幌をはじめ北陸・関西に地方求人をさらに展開し、素人の獲得に全力をあげる。
■WEB関連の新規事業を立ち上げる。
方針は多岐にわたるが、共通して訴えられているものなどを整理してみると、次にいくつかに集約される。
@ 女の子を集める。
A ホステスの教育をしっかりする。
B 宣伝を強くする。とくにネットと雑誌。
C 男子の接客をしっかりさせる。
D 幹部の指導能力を上げる。
E 社会人としてしっかりする。
二つの路線で提起されていることというのは、結局この6つのことなのである。D幹部の指導能力とE社会人・・・の問題は、上記@〜Cの根底にあるものであって、基本的な課題は@〜Cということになる。この@〜Cを、「ソープランドの営業において必要な4要素」として、今回あらためて整理し、書き出しておきたいと思う。