路線的な取り組みの概況とわれわれの決意 |
Aホステスの教育をしっかりすること
入店した女の子=ホステスさんをしっかりと教育していくことは、店=グループ全体のサービスレベルを統一し、安定したサービスを提供していくうえで必要不可欠な課題である。
最初にことわっておくが、「サービスレベルを統一する」といっても、すべての女の子がまったく同じサービスを提供するとか、サービス内容が均一であるべきだと言っているのではない。たとえば、熊本ブルーシャトーのように、誰に入ってもまったく同じサービス内容で、まるで金太郎飴のようにどこを切っても同じ顔が出てくるというような没個性的なサービス内容は、今日のニーズに照らして決して適当であるとはいえないと考えている。
むしろ、女の子それぞれにおいて個性的で変化に富んだ内容であってよいし、顧客の求める内容を日々創造=再創造していくような視点こそが大切であるとは思う。ただ、原則として高級ソープランドとしての一定のサービスレベルは当然にもすべてのホステスさんが体得しているべきであり、あくまでもそこが基礎であって、その基礎は基礎としてしっかりと押さえつつ、そこからの発展形態=応用として各個人の創意工夫をこらしたサービス内容が考えられるべきだというのである。高級ソープ嬢としての基礎的なサービスができない状態で応用や個性を云々することは、ソープランドというサービス業の根本をスポイルするものであって、現時点においてはやはり認めがたい偏向というべきである。
この点、吉原ピカソの考え方についてひとこと言及しておきたい。ピカソの体験的な報告についてはレポート「高級店建設からの逃避--ピカソ再考」に書いたとおりであるが、このたびホームページにおいても「風俗的なサービスの排除」を明確に打ち出したことでその姿勢がいっそう明らかになった。マットや椅子洗い、浴槽プレイ、あるいは即尺などのソープランド固有のサービスをいっさい認めず、
「当店には風俗のプロ的な女性は在籍致しておりません。それよりも一般社会で評価される女性らしさを基準としております」
とあえて言い切るその姿勢は、あるいはソープ業界全体への挑戦とも受け取れる。しかし、「男の最高の遊び場」に求められる女性スタッフのサービスの質は、一にも二にも「男に尽くしぬく」女性としての献身的な姿勢ということではないだろうか。そしてこの「献身的な姿勢」は、即尺・即ベッドなどの具体的なサービス内容として実現されるのであって、それ以外のなにか一般的で抽象的な「献身」があるわけではないと考える。ソープランド固有のサービスをスポイルしたあと、容姿などの外的条件以外になにが残るというのか、聞いてみたいところである。
高級店に求められるニーズは、今も昔も「極上のホステスから、極上のサービスを受ける」という点にこそある。そして極上のサービスとは、現在のところ、やはりソープに固有な具体的なサービスということになるのであって、ここをスポイルしてしまったのでは、もはやそれはソープではないといえよう。ピカソはソープランドではない、別のサービス業に移行しつつあるように見受けられる。その行く先に成功があるのか失敗があるのかは、正直まだわからない。あるいは一定のニーズを得ることはあるのかも知れない。「風俗的なサービスよりも恋人チックな時間をゆっくり楽しみたい」というニーズは、実際われわれの土壌にもあるのであって、あるいは方向性として一定の需要はあるのだと思う。しかし「モデル・タレント級の女の子ばかりを入れてソフトなサービスをさせる」という現在のピカソのようなやり方は、東京という地の利を生かした豊富な人材確保があってはじめて成り立つものであって、現状金津園でそのやり方を当てはめるのは、危険であり、無謀というべきであろう。やはり、古典的なサービスを基礎としつつ、その発展のなかに新しいニーズを模索していくというのが正道である。(また、ピカソの方針自体、かれらの積極的な選択としてあるというよりは、求人=営業の双方において高級デリヘルの台頭に圧され、生き残りをかけて否応なく選択した方針であるとも考えられるのである。)
さて、ホステスさんの教育といった場合、基本的には店長による指導と講習員による指導のふたつが考えられるが、一切の組織的指導の根幹には、やはり店長による指導が座るべきである。
店長とは、店舗運営に関して絶対的な権限と責任をもつ最高指導部である。スタッフの入店・退店の決裁に始まり、出勤の管理、接客内容の点検も含め、店長は店舗運営に関する一切の日常的指導を貫徹する権限を持つ。同時にまた、店長は店舗運営に関して起こりうるすべての問題について責任を負う。そうした立場から、ホステスさんをしっかりと育て、有効に勤務させていくことを日常的な任務としている。講習体制や講習内容についても、講習員との綿密な討論を行なうなかで、個別一人ひとりのホステスさんに対する指導を強めていかなければならない。
ホステスさんの教育、-----もし店舗とホステスさんのあいだに「教育」ということが可能であるとするならばであるが-----、その根本には「R-GROUP勤務の約束事」などの会社としての方針がその中心軸としてすえられるべきである。
一般に人を教育するといった場合には、何か具体的な指針を通じ、その指針に照らし合わせて考えや行動をそこに準拠させるといったかたちをとることになる。つまり店舗運営を適切に貫徹するためにスタッフを営業のステージに整列させるということだ。健康管理を通じた出勤の確保、リターン客を獲得するための接客内容の指導など、ホステスさんの教育といった場合のひとつの目的は、この「店舗運営の適切な貫徹」という点にある。
同時に、そうした営業人としての姿勢の確保のうえに、ホステスさんそれぞれの「働く理由」に応じた彼女たち自身の成長と成功という契機をぜひとも重視したいと考えるのである。
「われわれは、ホステスを売り上げの道具とするような、血の通わない考え方はもとより採用していない。 R-GROUP で働いくことが、ホステス自身の未来を切り開く道となるようなあり方を模索してきたつもりである。これは、今後も変わることはない。」
「基本的には、ホステス自身の成長と成功を導く方向での指導である。幹部とフロント担当者は、いうなればホステスの「成功物語の演出者」になろうということである。風俗店とそのホステスとの関係でよくある「店の売り上げのためにお前ら無理しろ」式の指導は通用しないということである。そうではなく、「君の成功をどのようにイメージするか、その成功のためにはこういう課題がある、その課題達成のためにどう努力し自分を追い込んでいくか」という問題の立て方でホステスを駆り立てていくのである。人を生かすやり方、あるいはやる気を引き出すやり方である。艶グループのホステス管理の杜撰さ、下着の強制販売などのホステスに対する利用主義を反面教師としつつ、われわれらしいホステス管理のあり方を追求していかなければならない。」(R-GROUPの現段階)
ホステスさんに対するこうした血のかよった指導のあり方にこそ、R-GROUPがR-GROUPたるゆえんであるといえる質が表現されるべきであり、こうした日々の、指導部としての、そして人としての絶え間ない努力のなかにこそ、「人が宿る会社と仕事」が実現されるのだと考えたいのである。これは男子に対する指導においても同様である。
また、こうした「女の子自身の成長と成功」を作り出す会社の姿勢こそが、多くの働く女の子の共感を生み出すのであり、結果R-GROUPのリクルート商品のシェア拡大を作り出していく基礎となるものである。
今後の課題としては、ホステスさんを指導・教育していくための考え方の基礎となるテキストを作成することである。「スタッフを営業のステージに整列させる」ためにも「働く論理」を練り上げ、そこにホステスさんの勤務のあり方を準拠させる努力をすぐにでも開始しなければならない。また、それが「風俗で働く女の子の気持ちを支える哲学」となって、それが全国の女の子の支持を得て応募につながるというサイクルを形成するのである。
課題
■講習体制および的確で粘り強いホステス教育=指導の核心とは、安価で高品位な耐久力に優れた労働力の形成ということにほかならない。
■女子用のクレド。あるいは女子にも共有されるべきクレド、R-GROUPベイシックの作成とそれを通じた社員の意識向上という考え方