路線的な取り組みの概況とわれわれの決意 |
C男子の接客をしっかりさせる。
男子スタッフのサービス=接客内容の確立およびその教育について。ソープランドの他風俗に対する優位性のひとつとして、男子の接客が挙げられる。紳士的でサービス精神にみちた男子の接客こそ、ホステスさん以外でソープランドが誇ることのできるサービスであり、これこそは他風俗にはないものである。
われわれは、男子の接客および店舗が顧客に対して用意する接客=サービス内容において、たとえば高級ホテルが必死で追求しているような「おもてなしの心」にみちたサービス内容を提供したいと考えている。それは「接客」というものを根本的に追求していくならば、当然にもたどり着くべきものである。「接客人としての自分を磨く」という課題を考えたとき、具体的にはこうした「おもてなしの心」とその実践が問われることになるのである。「2005年下半期のR-GROUP組織方針」では男子の接客課題について、次のように提起されていた。
男子スタッフは引き続き、一人ひとりが接客のプロとして自分自身の「接客術」を練り上げていく。とくに今後は「リッツカールトン式」のパーソナルサービスを R-GROUP の基本サービスとしていく。とくに、「リッツ」のクレド( credo )に代わるような、われわれ自身の接客哲学を作り上げる。
リッツカールトンのクレドに代わるわれわれ自身の接客哲学とは、ひとことで言えば「心の羅針盤」のようなものであるべきだと考えている。よくある職場マニュアルのようなものは「まったく意味がない」とはいわないにしても、具体的個別的な場面においては役に立たないことも多い。顧客が100人いれば、100通りの接客があるのであり、作業の流れとしては同じであったとしても、「心の感じ方は、ひとつとして同じものはない」と考えるべきである。
そう考えたとき、求められる接客哲学の指針は、個別的な場面において個々のスタッフが応用できるような、根本的な考え方の基礎=基本的な考え方であるべきだということなのである。こうした「心の羅針盤」がしっかりと心の中にすえてあるならば、個々の場面においてどのような対処すべきかは、自ずと理解され実践されるだろうということである。
リッツカールトンの「ゴールドスタンダード」において、クレドは次のように記されている。
【クレド】
リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだそして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。
リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。
とりたてて特別な指針が提起されているわけではない。しかし、リッツ式サービスのすべては、このクレドのなかに表現されていると考えるべきである。あるいは、すべてのサービスは、この考え方を基礎にして、ここから派生していると考えるべきである。
われわれ流に解釈し、整理するならばさしづめ次のようになろう。
R-GROUP 私たちの信条・CREDO(クレド)=心の羅針盤
■私たちはサービス業を生業とするものとして、お客様に喜んで頂くこと、お客様に心からのご満足を提供することを、その任務とする。
■そのために私たちは、心のこもったおもてなしを大切にします。
■お客様の要望を先読みし、先回りしてそれを実行し、お客様の予測を上回るサービスを行なうことで、お客様に感動を与えます。
結局サービス業の根本は、これ以上でもこれ以下でもないのである。こうした当たり前のサービス精神を大切にし、一つひとつきちんと実践していくということであり、そのために心の羅針盤をしっかりと持つということに尽きるのである。
またこうした課題を組織的に実践していくうえにおいては、方針そのものはお仕着せのものでないほうがよい。事の本質上、サービス精神を強制することはできないし、また実際、誰かに強制されて嫌々行なうようなものでもない。むしろ逆に、それは現場から提起されてくるべき質のものである。・・・伸び行く指向性をもつ接客人としての心に導かれて、日々の現場実践のなかから鉄火のごとく鍛え上げられてくる「接客の論理」・・・これこそがわれわれにとって至高の珠玉なのである。
R-GROUP的なクレドの基本ラインは上記のもので間違いないと考えるが、上記の理由から、これについては、ぜひとも基幹スタッフ全員の「リッツ本」の読了と実際のリッツカールトン研修を踏まえたうえで、意思の共有化をはかりたいと考える。
なお、このかんの面談のなかではっきりしたのは、男子が接客中に名刺を出す場面があまりにも少ないことである。名刺を出すという行為は、責任の所在を明らかにすると同時に、自らが当該のお客様の担当者であることを宣言し、次回の来店を促す重要な契機であって、もっともっと重視されてしかるべき課題であると考える。
実際、経験上でいえば、きちんと名刺を出して接客することがかつてはあたりまえであったし、名刺をもらえない時代には、上がり接客の際、店の名刺に自分の名前を手書きして渡していた。その結果として男子指名の電話が増え、最終的には「君がいるからこの店にくるんだ」といわれるようになる。それが、接客人としての喜びでもあり誇りでもあった。逆にお客様から「名刺をくれ」といわれないということは、とりもなおさず「お遊びのアドバイザー」として興味をもたれていない=信頼を得ていないということであり、接客人としてこんなに寂しいことはないのである。自分の接客人としてのステージを上げるためにも、積極的な営業が必要ではないだろうか。そうした努力は個人プレーでもなんでもない。むしろ顧客の店舗への認知を高め、店舗全体の接客の質を向上させるものである。また、実際そのためにこそスタッフの名刺は作成されたのである。
恐れずどしどしチャレンジすべきである。
すでに3年〜4年前のことであるが、吉原の高級店「粋蓮」に行った際にうけた接客とその際にもらった名刺を紹介しよう。
接客してくれたのは、35〜40歳くらいの「井関」という主任であった。上がりにおいて今日の女の子の感想その他を聞き込みしたあと、ひと通り女談義をして好みを聞きだし、その好み=タイプに基づいてアルバムを見せながら数人のキャストを紹介し、名刺の裏にその詳細を書いて渡してくれた。
井関氏の場合、それぞれの女の子についての紹介をキャッチフレーズで行なう。
たとえば、
□麻里というキャストは「稀代の名器、かずのこ天井」、
□早見というキャストは「お仕事バッチリ、ぜったい満足」、
□希崎というキャストは「不動のナンバーワン、男だったらぜひ一度」
などなど。
こうしたキャストの売り出し文句がラップのようにスラスラと出てくる。そして「忘れないように書いておきましょう」といって名刺の裏にパッパッと書く。こうした営業努力は、それ自身キャストのP指名につながると同時に、店舗そのものへのリピートを促す強力な力となる。(また売り出されたキャストは男子への感謝の気持ちを持つようになって指導が貫徹しやすくなる。)
こうした営業努力はソープのスタッフにおいて至極当たり前のことであり、われわれの店舗においても日常的に行なわれていることでもあるが、名刺を活用する効用については、ぜひとも学びたいところである。面談時に行なわれた「男子スタッフ自己点検項目」で問われた下記の課題はこうした接客のあり方についての創意工夫をわれわれに要請しているのである。
□ホステスさんの名前、特性、売り文句、スリーサイズなどが頭の中に入っていて、すらすらと言える。お客様に対し、店のホステスさんの紹介が確実にできる
□常連のお客様の顔・名前・車種・お遊びの履歴が頭の中に入っている
□各ホステスさんの特性・成長プログラムを理解し、それに沿う形で聞き込みができる
□ソープランドのスタッフとして、お客様の歓心をくすぐる会話ができる
□自分の力で、お客様を店につなぎとめることができる
※余談であるが、粋蓮に電話してみると、井関氏は「ずいぶん前に辞めた」とのことである。男子を指名する電話への感謝の気持ちもまったくなく、「もうそんな人いませんねー」くらいの対応であった。寂しいものである。
さて以上、「ソープランドの営業において必要な4要素」について現在の地平から簡単に整理した。「現段階」と「下半期の方針」のふたつの総括的な路線が提起していることも、根本的にはこの4要素を深めていこうということにほかならない。
そもそも、路線的な考え方を基礎にして日々の営業を行なっていくというあり方は、われわれの生命線であり、根本的な立脚点である。また同時に、路線=戦略=戦術は、事務局から出される一方的な方針としてではなく、生きた現場の取り組みのなかで体験され教訓化されたものがわれわれ全体の経験として昇華され、それをもとにどしどし豊富化されていくべきものとして理解されなければならないということだ。
その意味において、路線はスタッフ全員のものである。
デリヘルの台頭、取り締まりの強化など、ソープランドをめぐる情勢は、最近とみに厳しくなっている。われわれは、情勢全般および顧客ニーズとしっかり呼吸しあいながら、われわれ自身が生きるこの道を、真に意味あるものとするために、今後も努力を続けていかなければならない。その意味において、「現段階」で提起された下記のような幹部のあり方は、今日ますます求められているのだといえる。スタッフ一人ひとりが役職にかかわらず、その先頭に立つ決意で頑張りぬこう。
男子スタッフは、同時に配布される「自己点検項目」に照らし、自らの仕事内容のレベルアップに努めていかなければならない。
われわれは、いわば接客のプロである。人を接客することの意味を根本から問い直し、自分自身のなかに接客人としての魂と技術を作り上げていくことである。お客様の名前と顔とクルマを覚えること、お遊びの履歴を頭のなかに叩き込むこと、そのためにノートをつくり、自分だけの「虎の巻」をつくることである。お客様の顔を見た瞬間に名前と履歴が頭に浮かぶというのでなければならない。「明日あたり○○様の予約が入りそうだ」と検討がつくようになれば本物である。「接客のプロ」となること、「一流の接客人」となることを目指そう。
幹部は、そうした人材の育成に全力を傾けるべきである。そして自らをそうした教育的人格に鍛え上げるべく、学習と努力を惜しんではならない。幹部の働きこそ、会社の消長を占う鍵である。幹部およびフロント担当者にあっては多重な任務を十手観音のごとくこなしきるバイタリティー、八面六臂の活躍をとくに期待したい。全国の風俗店にライバルが 1000 人単位でいることを常に念頭に置き、知力・体力、時代を取り込む能力において、決して遅れをとることなく、日々の仕事に立ち向かっていかなければならない。