■1980年代前半

1980年頃の金津園の地図(男の読本1980.5.1 永田社)
県条例で18歳からの就業が可能なためキャストの平均年齢が他地域より若くそれが魅力のひとつとなっていた。また地理上ライバルとなる名古屋の中村は条例で建て替えが禁止されたのに対して岐阜県では県条例が変わり金津園一帯の許可地においてトルコの新築、改築ができるようになりオープンラッシュが始まっていた。
この時期には先を見越した名古屋や他地域の業者も一気に金津園に流れ込んできたといい「現在、金津園には約60軒の店が営業している。この数は雄琴の49軒を抜き、関西最大のトルコゾーンに急成長した。なにしろこの2年間で、20軒以上の店がオープンしたのだから大変なもの」という記述からも当時の勢いが伺える。
またこの時期の雄琴に関しては「一昔前なら雄琴は日本一のトルコ街であったが、現在はかなり苦しい立場に追い込まれている。」
「料金面を見ても平均的に高い総額3万円以上が相場。これでは客も離れてしまう。まして雄琴は地の利が悪い。車代を考えれば、馬鹿高いものについてしまう。技術が最高だといっても、客の方がトルコ慣れしている現在、かえって逆効果。」
「なぜこのように暇になってしまったのか?」と厳しい状況が書かれており、金津園がこの時期、滋賀県も含めてこの地域で特に勢いがあった事が想像できる。


■1990年代前半

1992年頃金津園の地図
(ナイタイマガジンソープ遊びガイド1992.4.30 ナイタイ出版)
この時期はすでにトルコからソープに呼称が変っており金津園には約70軒のソープがあったと書かれている。特徴としては18歳から就業できるという県条例により平均年齢が若いこと、名古屋から電車で約30分という立地の良さ、プレイルームの広々としたスペースと内装の豪華さ、東京と比べての価格設定の安さなどがあげられている。
「高校を卒業したばかりの女の子もいる。交通費を使ってでも行きたい金津園!」
「ギャル質日本一の金津園ソープ」
「岐阜駅の出口から歩いて1、2分のトコロに70軒からのソープがかたまっている金津園・・・それだけだって並みじゃない。その上゛豪華ケンラン゛、゛ロリロリ゛等々、様々なエキスがつまってる・・・」

また街並みについてもソープだけでなくボーリング・ビリヤード・サウナなどがある中部ボール、ビジネスホテル山水、その他にも靴屋、本屋、居酒屋、案内所を兼ねているような喫茶店などがあることも紹介されており80年代の新築、改築ラッシュから街全体が盛り上がり、この時期には店舗数も増え、周辺施設も充実していた事が分かる。




■1990年代後半

1999年頃 金津園の地図
(ソープランドの本 1999.5.15 双葉社)
90年代後半になるとこれまでの流れから変化が見られる。
「かつては美人度日本イチとうたわれた大ソープ街のいま」
「5,6年前までは18歳からソープで働けたが現在は20歳からに自主規制しており、若干のパワーダウンは否めない」
「確かに昔は、金津園のソープ嬢は若いだけで仕事もろくにできないと、揶揄されたこともあります。でもソープ嬢の年齢制限を20歳からにあげてからは、仕事面にも力を入れ、若さだけで人気を得ているソープ嬢はいなくなりました。」とこの頃から接客に力を入れている店が増えてきたことが伺える。

また80年代、90年代前半は全国のソープ特集のような記事の中でも非常に勢いのあるソープ街という書かれ方をしていたがこの時期には店舗数が90年代前半の約70軒から60数軒に減少し、金津園の最大のライバルは名古屋のヘルスだと書かれている。

この雑誌自体が全国ソープランドの本というタイトルにも関わらずその地区ごとにその他の風俗という形でソープ以外の風俗も紹介しており、そういった点や下記の記述からも時代の流れや勢いの弱まりを感じる。
「長良川の鵜飼いが、ここ数年売り上げが減少し赤字が続いている。」
「名神を走らせ、北陸道、中央道、東名高速を走らせ、全国からファンが金津園にやってくる。そんな光景を復活させるためにも、もう一度原点に帰った営業が求められているのかも知れない。」



今回時代的にも断片的で8冊の雑誌からの情報のみですが、全国ソープ特集のような雑誌を見て金津園の歴史を辿り、特に80年代の雑誌ではソープ(トルコ)についてのコラムや遊び方、技の特集、座談会などが載っており、各ソープ街の記事でもそれぞれの地域性を感じる物が多く風俗業界だけでなく、社会の中でのソープ(トルコ)の位置づけや遊ぶ人の感覚も違っていたのではないかと感じました。
今の雑誌ではヘブンの全国ソープムックなどを見てもキャストの写真とともにどんな女の子がいるのかという事、特にルックス面にだけスポットがあたっているものばかりで、お店のHPを見ても同じような状況のように感じます。
どの地域で遊ぶか、どのお店で遊ぶかということよりもどの娘と遊ぶかということばかりが強調され、地域性などが薄まりソープ選びが昔と比べてつまらなくなっているように感じました。
そんな中でR-GROUP総合HPでの直接的なキャストアピールだけでない会社としての考え方、キャスト採用の考え方など会社の文化、どういうお店なのか、どういうグループなのかという事を紹介している事の意義を改めて感じました。

ラブティファニー 田辺誠蔵

1980年代前半の金津園  (「まるごと一冊トルコ特集」ミリオン出版)