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風俗業界におけるイノベーション


イノベーションとは、新しい技術の発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。つまり、それまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指す。
(ウィキペディア)






全国求人とリアルタイム情報は、これまでの金津園の仕組みに対してまったく新しい考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、東海圏における風俗業界に大きな変化を起こしたアイデアであった。
リアルタイム情報は「狙いの女の子が空いているタイムゾーンは何時か?」という顧客層の根源的ニーズに対するシーズ゙を創造したという点で、画期的なイノベーションであったし、全国求人は働く女性の裾野を広げ全国どこからでも気軽に応募できるという労働市場のニーズに応えるシーズを用意した点で、ひとつのイノベーションであった。これらの取り組みが真に画期的であり、またニーズに応える効果的なものであったことは、2004年以降、これらの取り組みを模倣する店が増えてきたことでも明らかであろうと思う。実際、このイノベーションは人材確保と稼働率というビジネスの核心的な2点においてわれわれに絶大な効用をもたらしたのである。

まず、全国求人について振り返って考えてみたい。
もともと、2004年以前の金津園において全国求人を大々的に打ち出し、それを人材確保の主要なルートとしている店舗はほとんどなかった。M店オーナーが札幌に別店舗をもっている関連で、札幌の求人雑誌に小さな広告がわずかに出ていたのみである。あるいは、唯一人材確保のルートを意識的に考えていたJBGが、名古屋のヘルスからの移籍を[労働条件のヘルス的緩和を通じて]追求していたのみである。それ以外は、われわれも含めて漫遊記やヘブンの店広告を見た県内もしくは近隣県からの応募や、他店からの移籍に頼っていたというのが現状である。

つまり、人材確保という点ではきわめて受動的であり、そういう意味では「自然発生的な」ものへ頼りきっていたのである。すべてにおいてそうであるが、これもビジネスの視点=安定した商品供給のルートを作り上げるという視点(注1)を欠如した結果であるといえる。

全国求人に踏み出すきっかけとなったのは、沖縄在住経験のあるスタッフの経験談であった。沖縄には「季節に行く」という言葉があり、ここにいう「季節」とは季節労働のことで、人件費が安く働き口の少ない沖縄ではなかなか稼げない現状から、女性男性問わず多くの若者が本土へ3ヶ月なり6ヶ月なり期間を決めて出稼ぎに行く習慣がある。そのなかには当然工場労働もあれば、女性であれば風俗業もある。この現状を捉え、本土に稼ぎに行く=季節に行く沖縄労働力のニーズをうまくすくい上げることができれば、沖縄から相当数のCASTを補充することができるのではないかと考えたのである。

これがまず的中した。沖縄求人誌に広告を出すことで、毎月のように沖縄からの赴任組を迎えることとなった。沖縄女性がもつ異国情緒めいた雰囲気も魅力のひとつとなってR-GROUPにおける沖縄女性の存在は、グループ全体の集客にも大きく貢献したのである。
沖縄求人の成功は、全国求人全体への先鞭をつけることにもなった。
特に九州は「男に尽くす」風土がもたらすCASTの質の高さも手伝って「R-GROUPの聖地」と言われるまでに重要な兵站基地となった。少し前までは求人地域として考えられなかった北海道も、札幌をはじめとした各地から多くのCASTを迎えることが出来た。東京とくに吉原高級店経験者に関しては、問題も多いが、東京からの応募も飛躍的に伸びた。全国求人に関しては、中国地方・北陸・東北の未開拓という問題、重要拠点である沖縄・九州の応募数がこのかん減少しているなど課題も多いが、求人という課題を「商品供給のルートを日本全国に形成する」というビジネスティックなファクター(注2)を通じて考え実践することで、革命的な効果をもたらしたイノベーションであったといえるのである。

一方、リアルタイム情報について。
リアルタイム情報について考え始めた時期というのは、現場で簡単なホームページをつくったりメールマガジンを打つことが出来るようになった2004年の末から2005年の初めにかけてである。当時はまだ業者に発注し制作させた携帯版公式ホームページを使用していた。業者の作った携帯版ホームページは、携帯キャリア別にgifファイルやpngファイルを読み込んで表示するといった当時のネット環境においてはユーザビリティに則した作りであったが、圧倒的に情報量の少ない、そういう意味ではユーザーにとって使い勝手の悪いサイトになっていた。それをなんとかしなければならないとは考えていたが、まだリアルタイム情報の導入までは思い到っていなかった。ただ、インターネットをまだよく理解していない当時の曖昧模糊とした認識の中でも、端緒的ではあったが、次のような考え方はしていたのである。

HPに関しては今後、携帯版をあらためて重視するという姿勢を大切にしていきたいと思う。アクセスに関して正確なデータはないが、携帯版のアクセスも相当数あるはずであり、ホームページの充実といったとき、PC版のみならず携帯版の充実をも同時に図っていくのでなければならない。日頃PCばかりを見るわれわれとは違って、実際主として携帯版を見ている人は多いのである。この点を忘れてはならない。 (R-GROUPの現段階

ただ、具体的にどうすればよいかについては、ローカルサイトとリモートサイト、FTPを使ったアップロードという仕組みを理解し、Dreamweaverなどの各種ソフトを我が物にして初めて認識の俎上にあがってきたといえるのである。つまり、簡単なものではあれホームページを自分でつくってアップロードすることが出来るようになって初めてニーズとの絡みも理解できたということである。
また、このころ金津園ワールドが「出勤データベース」を開始したことと期を一にして出勤をホームページ上に公開すること=「出勤データベース」とリンクすることも始めたが、この「CASTの出勤をホームページ上で明らかにする」ことの当然の流れとして、案内時間のリアルタイムな公開というアイデアが生まれた。
もともとビジネスが「ニーズに応えるシーズの提供」であるとするならば、目当ての店情報やCAST情報に加え、
@そのCASTがいつ出勤しているのか
という出勤情報の次には、かならず、
A何時に入れるのか?
というニーズが問題となるのであって、リアルタイム情報の公開は、ニーズに応えるビジネスを追求しようとするならば当然行き着く結果である。とはいえ、それはまさに「ニーズに応えるビジネスを追求しようとするならば」という前提があってのことであり、ビジネスとは無縁の、昔ながらの業界の常識のなかではけっして生まれてこなかったアイデアだといえる。それはありていに言ってしまえば、やりたくてもやれないアイデアなのである。リアルタイムに案内情報を公開するということは、1日の本数をWEB上に明らかにすることであり、売上を鏡張りにしてしまうことである。これは、ソープランドという商売をビジネスとしてやりぬくという決意がなければできない変革であり、腹の据わったイノベーションである。
これまでの取り組みの全過程を振り返って考えたとき、こんにちのR-GROUPの到達地平とは、他店には絶対にまねできなかったこうした取り組み=イノベーション(現状を変革する革新的なアイデアの実践)がもたらしたわれわれの勝利と総括できるのではないかと考える。そしてこれら二つの取り組みは、間違いなく風俗業界=金津園のイノベーションであった。そして、こうした二つのイノベーションとその取り組みが、現在のR-GROUPの土台をつくったともいえるのである。

今日、店長の体制が強固なものとなり、マネージャー・主任をはじめとする若い力が育ってきている。彼らこそ、これからのR-GROUPを支えていく主力なのであり、あらたなイノベーションを通じて業界に革命をもたらす風雲児となっていかなければならない存在である。若い力こそがイノベーションの源泉である。
幹部にあっては、そうした若い力がもたらすイノベーションの芽を摘み取ることなく、彼らに対する効果的な権限委譲(エンパワー)を通じて、会社と組織の活性化を図るべく努力することが求められている。






注1:まず 商品の仕入れ であるが、当然のことながら、固定した仕入先があるわけではない。また、仕入れたいと思ったときにすぐに仕入れが可能なわけでもない。現在のところ、ほとんどすべての店舗が不確定要素の大きい、はっきりいえば「いつあるかわからない」面接に頼っているというのが現状である。
これでは不安極まりないといわなければならない。
したがって、まずもって安定した商品供給のルートを作り上げることが、商品不足に陥らない必勝の課題となる。われわれの場合、このルートを地方求人誌とリクルート HP に求めたわけである。
求人誌による地方求人は、もともと金津の移籍組に期待できないところから、広く全国に人材を募りたいという希望からはじめたことであったが、まったくの風俗素人を多数獲得できたことは、望外の成果であった。風俗経験のない応募者は、ある意味 R-Group の路線と考え方において基礎から教育することが可能であり、店のカラーを作り上げていくうえで、必要にして不可欠な素材である。また、他店舗との条件比較を常に考える人材とは違い、入店から卒業まで、一貫してわれわれと共に行動する人材は、文字通りわれわれの仲間であり、ある意味「同志」である。こうした素材をどれだけ持てるかが、店の実力そのものといってもよいのである。この点、地方から R-Group だけを頼って来る素材の獲得を目指したことは、単に獲得数だけでは計れない組織としての強みを、われわれにもたらしたといえる。
2005 年下半期の R-GROUP 組織方針

注2:対象となる女の子が存在する領域を「海」とたとえるならば、定置網からはえ縄漁への転換が、「陸(おか)」とたとえるならば、R-GROUPへ至る川の流れ=水路を、全国津々浦々に灌漑工事のようにつくりあげ、はりめぐらせるという発想の転換が必要なのである。 この「はえ縄漁」もしくは「水路建設」は、雑誌・WEBなどのメディアを利用するという位相と、地域別という位相、対象とする女の子の職種別という3つの位相において分析され用意されなければならない。
(2006.7.27通達「求人に関する基本的な考え方」)


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