■指導系列を正しく理解し、一切の仕事を組織的に考え行動せよ
はじめに
われわれが R-GROUP としてスタートを切ってから4年が過ぎた。そして本年初頭の新体制発足から半年が経過した。このかん、試行錯誤しながらも、現場の男子スタッフを先頭に金津園におけるソープランド3店舗の展開を、文字通り汗みどろとなって全力で作り上げてきた。この半年あまりの現場的=組織的な取り組みのすべてはわれわれにとって、またソープランド業界全体にとっても決して軽いものではなかったと考える。
われわれは、つとに、ソープランドの営業を「昔ながらのやり方」ではなく、ひとつのビジネスとして考え、それを実践しようとしてきた。われわれが進むべき道=路線を定め、その路線の実現のための戦略をたて、そこから日々の営業、戦術問題その他を考えるというやり方を取ってきた。現場において必ずしも実感されない場面のひとつひとつも、じつはその内実においては、つねに路線=戦略=戦術という一貫性をもって貫徹されてきたのである。このことは、繰り返し正しく確認されなければならない。
もし仮に、日々の営業が路線=戦略=戦術という観点のないまま行なわれるとするなら、それは、きわめて場当たり的で無方針な、したがってまた経験に頼ったやり方にならざるを得ない。そのようなやり方では、何を目標とし、またどこに到達地平を定めればよいかもはっきりせず、何に向かって努力しているのかさえ現場的には明らかとならず、目標を見失ってしまうことになりかねない。
しかし、われわれには、目標があり、夢がある。スタート地点はソープランドのボーイであったとしても、そのソープランドの事業展開を基礎としつつ、可能な限りのビジネス展開を展望していきたいと考えている。そのためには、 R-GROUP の構成員一人ひとりがビジネスを理解し、事業を担いぬく一個のビジネスマンとして自らを成長させなければならない。このかんの、セミナーも含めたさまざまな取り組みの一切は、そのためのものであるといえる。
さて、そのような問題意識から考えたとき、当面するわれわれの目標は次の 3 点に集約される。
1.接客人としての自分を磨くこと
2.組織人としての自分を磨くこと
3.事業人としての自分を磨くこと
まずは、接客を生業(なりわい)とするものとして、自らの接客人としての能力を極限的に引き上げていかなければならない。接客に関しては、それ自体たとえば「営業」「運転」その他技術的な仕事と同様に独自の領域が存在するのであって、特にこのかんの「リッツ本」の学習などをつうじてその基礎を感覚的にせよ、まず自分自身のものにしていくことである。日々の仕事=接客を「パーソナルサービス」として実現することをつねに意識しながら、一歩一歩、自分の接客内容を磨いていこう。そうした一人ひとりの努力が、われわれの接客の質を高めていくのであり、ひいては R-GROUP の接客の質として昇華されていくのである。
また、そうした接客・営業方針の実践は、個人的な努力を基礎としながらも、チームワークとしてしか成り立たないものであることを是非とも理解するべきである。チームワークは、とくに横のつながりと縦の系列において、つまり組織的なものとして理解されなければならない。組織的な自分の位置づけをはっきり理解し、組織の指導系列に従うことを通して、われわれの課題である接客のあり方を実現していくことである。個別的な能力が指導系列をつくるのではなく、指導系列が個別的なものを組織的に表現するのである。決してその逆ではない。
・・・(省略)・・・
こうした課題を常に念頭に置きながら、 2005 年下半期を闘っていきたいと考える。
2005 年前半の総括=「 R-GROUP の現段階」以降の取り組み
まずは、「 R-GROUP の現段階」で示した方針が、この上半期どのように貫徹されたのかを中心に、簡単に総括しておきたい。
「現段階」で打ち出した課題と方針は次のとおりである。
営業戦略に関して
■宣伝戦略を飛躍的に強化し、ネット戦略をさらに推し進めていく
■雑誌を通じた効果的な宣伝を練り上げていく
■地方求人をさらに展開し、素人の獲得に全力をあげる
■男子スタッフは一人ひとりが接客のプロとして自分自身の「接客術」を練り上げていく
ホステスの指導に関して
■ホステスの成長を心から願い、厳しくも暖かい指導を強めていく
■サービス内容の充実と講習のレベルアップを実現する
組織建設に関して
■フロント担当者は実質的な店舗責任者としての自覚をもち、考え行動する
■幹部は指導部としての自覚をもち、自分自身の指導能力の向上のため不断に努力する
■社会人としての基盤整備をしっかり固め、地に足のついた生活律をつくる
「現段階」を通じて打ち出したこれらの方針は、総じて自分自身を社会人=ビジネス人として打ち鍛えると同時に、日々の仕事をビジネス的に展開することを真正面から提起したものであったといえる。宣伝戦を勝ち抜いて求人と営業に勝利すること、高級店にふさわしいスタッフとしての接客技術を磨くこと、日々のビジネス戦に勝ち抜く強力な組織を建設すること。われわれとしてはこの半年間、不十分ながらもこれらの課題に立ち向かい、わずかではあるが、確実にその階梯を上り始めたと総括できると思う。また、何に向かって努力すればよいのか、その課題についても、組織的=個別的に、徐々に明確になりつつある。今後も、断固としてこの道を進み、われわれ自身のさらなる飛躍をわれとわが手でもぎりとっていくのでなければならない。
以下、主要な総括点を挙げ、同時に引き続きの方針としたい。
ネット戦略=携帯版最新情報の導入
今年前半の総括の基軸は、なんと言っても各店舗に導入された「携帯版最新情報」のもたらした効果である。当初、われわれの中にも、リアルタイムで空き情報を流すということに対して躊躇があったことは事実である。他のライバル店に対して、実際どの程度の回転率で動いているのかが、手に取るようにわかってしまうこのやり方については、実際われわれも躊躇したし、いったん立ち止まって考えなければならない問題が含まれていることも事実である。しかし、この空き情報の正確な提供という課題は、振り返るならば掲示板に出勤情報を開示したときからの当然の流れであり、社会全体の流れ=ニーズにきわめてマッチしたやり方なのである。実際にも顧客側からするならば、どのホステスが出勤しているかの次には、どのホステスが空いているかがニーズとなるのであり、「ニーズに応える」というビジネスの本質からするならば、最新情報の提供は当然の帰結といえる。
一方、人気がある子と人気のない子がそれぞれ誰の目にも明らかになってしまうとか、出勤人数が少ないことが明らかとなって、それが来店数に直接にも響いてしまうなどの問題もたしかにあった。すなわち、人数が少ないとあらかじめわかってしまうと、「選べない」という印象を与えてしまうことになり、取れたはずのフリーも取れなくなってしまう可能性がでてくるということである。しかし、それを心配しつつも結果的に近場のフリーや、直前の指名予約が圧倒的に増加したことも事実なのである。今後、この「最新情報の提供」というサービスは、金津園内において当たり前のサービスになっていくものと思う。われわれは、その試みを最初にやり始めたものとして、提供する情報内容のさらなる豊富化に努めていくのでなければならない。
なお、この「最新情報の提供」というサービスのいちばん大切なことは、文字通り最新情報が常に流れているという点にある。 いつアクセスしても、そこに表示されている情報がまさに最新であり、ホットであるということが生命線なのである 。したがって、状況が変わったらすぐさま更新を加えるというあり方を、今後もフロントサイドの任務として徹底させていかなければならない。更新が遅れ、流れている情報と電話して初めてわかる情報とが違うという話になってしまうと、「最新情報」そのものに対する信頼が失われ、結果としてアクセス数が減り、この「最新情報 HP 」を作っている意味そのものがなくなってしまうのである。この点、フロント担当者はよくよく自覚しておく必要がある。
割引の中止
ロイヤルにおける割引の中止は、高級店建設の当然の帰結であり、また「立ち上げ」が終了したことの証(あかし)である。残る2店舗についても、時期を見て割引の中止=正当な価格運営に踏み切らなければならない。
全国的には、吉原にせよ、雄琴にせよ、福原にせよ、「高級店」と名のつく店で一万円の割引券をつけて経営している店は(経営不振店をのぞいて原則的に)ないのであって、この割引券の存在そのものが、「割安感」を演出するための方策であったとはいえ、「立ち上げ」未完了を示す、いわば成長途上にあるわれわれの蒙古斑のようなものだと思ってよい。これがひとつ取れたことは、われわれの成長を如実に示すものとして、喜びたいと思う。
売り上げとの関係でいうならば、割引の中止は当然にもダイレクトに売り上げアップにつながるものである。そもそも、われわれはまずもって利益を上げるために日々「商売」をしているのであって、あらゆる手段を講じて売り上げアップのために努力する必要があるが、割引の中止はその一環であり、手取りやシステムの見直しも含めて、一円でも多く売り上げを作ることがわれわれの根本的な任務であることを、この際はっきりと自覚しておきたいと思う。
イベントの中止
割引の中止とともに、イベントの中止もまた「立ち上げ」終了を示すメルクマールである。もともと割り引きイベントは、立ち上げのための一方策として始めたものであり、その立ち上げの期間、よくその効果を発揮したと思う。このイベントを夏に向かう過程でいったん終了にしたことの判断は正しかった。今後、いったん中止したものを安易に復活することはできないが、売り上げの推移を注視しつつ、柔軟な判断をしていかなければならない。
講習内容の豊富化
講習に関しては、指導部内において独自の努力を積み重ねてきたものの、いまだに不十分といわなければならない。これは、性的なものを異性が教えるということの根本的な矛盾といってもよいものである。
この点、今回女性の講習員=トレーナーを得たことは、幸いであった。とくに経験も長く、年齢的にも母親的な立場の今回のトレーナーの獲得は、女子スタッフを育てるうえで画期的な力をもたらすものとなった。「性的なものを同性が教えることの矛盾・・」という言い方もあるとは思うが、現在全国的には「講習は女性トレーナーがやる」という流れになってきており、また実際それがホステスにある種の「安心感」を与えているのも事実である。講習料を身銭を切って払い、時間をかけて教えてもらうというあり方も、自分自身のサービスが有料であることの自覚に役立っていると考える。講習にカネを払うというあり方は、講習された技術・作法・魂のすべてが富を生むこと、つまりビジネスが価値を媒介とするものだということを理解させるのに格好であって、今後もこのあり方は継続されなければならない。逆にいうと、カネをとれない講習は、ビジネス本来の意味において「価値あるもの」とはいえないのである。一定の時点において、講習料の値上げも検討していく必要がある(現在の講習料はその価値の大きさからいって不当に安価である)。
講習内容は、現在のところ、ソープランドの古典的な仕事が中心的な指導課題である。・・・(省略)・・・しかし、今後ソープランドに求める需要の質の変化にともない、講習内容もまた変わっていかなければならないということはいうまでもない。特に「現段階」でも明らかにしたとおり、サービスの根底にはお客様に対する根源的な愛情が座るべきであり、エロス的な愛の根本、性の本質を追究することは、ソープランドのサービス向上を考えるものとして当然の義務である。
組織建設上の問題
「現段階」ですでに述べたとおり、幹部の働きこそ会社全体の消長を占うものであり、各級幹部は引き続き全人格を投入する決意をもって日々の仕事に当たるのでなければならない。さらに幹部にあっては、現場の指導のみならず、 R-GROUP 全体を今後どのように運営し成長させていくかに関するビジョンの建設が急務である。日々移り変わるソープランド運営をめぐる情勢に対応し、また他風俗との競合に勝ち抜いていくための独自の戦略を練り上げていくのでなければならない。
さて、われわれの組織系列は明確な指導=被指導の関係として成り立っている。指導関係とは、指導部から見るならば、責任を取りきる決意の体系そのものだといってよいものである。つまり、下部の仕事上に生起する一切の諸問題について、自らが責任を取りきって指導しぬく決意がなければそもそも成立しない関係なのであって、「立場的に上にある」事をもって絶対服従を強制するような前近代的で奴隷的な関係ではありえないということである。一方、下部の側からするならば、下される方針を主体的=積極的に担いぬくことを通して、現場の成果を組織=指導の正しさとして組織全体に還元することを考えていくべきだということである。また、上司=部下関係は、正しい意味での敬意の体系としてつくられていくべきであり、そこにいささかの個人的な反発や不満があってはならない。もともと不満や反発というものは、組織的人格=組織的思考とはまったく無縁のきわめて不健康で非生産的な感情であるといってよい。組織上のあるいは方針上の問題が生じたときには、指導系列が正しく機能していないことをあらわしているわけであって、この解決のためには、指導系列を正しくリセットさせることで解決するべきだという理解の仕方をしなければならないということである。
「現段階」で総括された退店従業員の残した「待機主義と個人主義」という課題は、今日的にもつねに組織内に発生する可能性のある歪みであって、とくに個人主義的な歪みから行われる撹乱=突き上げは、それがどのような大義名分を伴おうとも、指導系列を破壊する反組織的行為であって、断じて許されないものである。
外部対抗勢力との戦い
われわれの組織を取り巻く「外部対抗勢力」とでもいうべき輩による組織破壊を絶対に許してはならない。こうした勢力に対して、幹部は先頭に立って闘うべきである。根本的にいうならば、組織は構成従業員の生命であって、幹部はこの組織を生命にかけても守り抜かねばならないのである。
退店従業員の扱いについて
・・・(省略)・・・
2005 年後半の課題=ソープランドの営業をビジネスとして考える
次に、このかんのわれわれの問題意識の核心である「ビジネスとしてのソープランド論」に関して整理し、 2005 年後半に向けた営業方針の柱としたい。
■その前提となること
昨年 12 月の「 R-Group の現段階」において明らかにしたかったのは、まずもってわれわれの進むべき総路線ともいうべきものであった。われわれが歩いてきた道を、今一度総括し、正しいものは正しいものとして、誤りは誤りとして、また失策は失策として正しく総括し、今後われわれの進むべき大道を明らかにしたかったのである。
われわれは今、新しい体制の下、旧態依然とした昔ながらのソープランドの在り方から脱却し、会社=店=われわれスタッフ自身が全体として成長する道を模索している。
会社は、名義問題の解決にはじまり、人的にも経理的にも徐々に整備され文字通りの「会社組織」にむかってその階梯を歩み始めている。人的には、われわれ自身が「古色蒼然としたソープランドのボーイ」ではなく、グループの事業を理解しその事業の前進のために力を尽くすスタッフとして、ひとり一人がその努力を開始し、会社側もまた報酬その他においてその努力に応えようとしている。
そうした、会社とスタッフによる事業の前進と成長をかちとっていく上で、鍵となるのは「ビジネス」という考え方ではないかと、われわれは今考えている。われわれを取り巻く仕事のいっさいを、この「ビジネス」というフィルターをとおしてとらえることで考え方に一貫性を持たせ、また仕事上のすべての事柄に関する判断の基準を得ることができるのではないかと考えている。
もちろん、いうところの「ビジネス」とは、血の通わない冷徹な利益至上主義という意味合いでいうのではない。たしかに一般的にはそのような使われ方もする。
辞書によれば
ビジネス 1 [business]
(1) 仕事。事業。商売。
(2) 特に、個人的な感情をまじえない、金もうけの手段としての仕事。
「あくまで―としてわりきる」
とあり、やはり言葉としてネガティブな印象をもつ。
しかし、英語で「 business 」と言った場合には「事務 ; 業務 ; 職業 ; 実業 , 営業 , 商業 , 商売 ; 会社 , 店 ; 仕事 ; 用事 , 用件 ; 議事(日程) ; 本分 ; 関与 ; 事件 ; (劇の)しぐさ ( action )」などの多様な意味があり、また
mean business 本気である
go into business 事業を起こす , 実業界に入る .
get down to business 本気で仕事にかかる .
go about one's business 自分のすべき事をする .
などのように、きわめてポジティブな意味合いをもつ。
われわれは、「ビジネス」という言葉=考え方をこのように幅広くかつ多様な意味においてとらえ、仕事上のいっさいを文字通りビジネスティックに考えるということを習慣にしたいと思う。
実際、われわれスタッフの日常業務のいっさいは「ビジネス」=仕事であり、われわれを結ぶ絆のいっさいを規定するものは「ビジネス」=仕事である。われわれは仕事を通じて結び合い、仕事を通じて信頼を深め、仕事を通じて成長していく。
したがって当然のことながら、この「仕事」=「ビジネス」というものに関してわれわれなりの理解を深め、またその具体的課題についてもきちんと整理していかなくてはならないのである。
■われわれの仕事を「ビジネス」というフィルターを通じて見ようとしたとき、大きくマーケティングとセールスに分けることが出来る。マーケティングは「商品を作り出すこと=需要を作り出すこと」であり、セールスは「商品を売ること=需要に応えること」である。
男子スタッフが抱える仕事は多岐にわたるが、このさい「男子スタッフの仕事はセールスである」と言い切ってしまおうと思う。あらゆる他の付随する仕事もセールスのために必要な諸作業と位置づけることが可能である。
われわれにとっての商品はいうまでもなく「ホステス」である。ホステスそのものが商品であり、ホステスが繰り出すサービスの一切が商品である。それら商品を売るにあたって、必要なこととは何か。
一般的なセールスの流れから考えるなら、まず、
①商品を仕入れ
②その商品を宣伝し、顧客を集め
③電話でアポイントをとり、
④お客様に商品説明をして購買意欲を高め、
⑤結果として、販売につなげて集金する。
⑥加えて購入したお客様へのアフターフォローをして「安定顧客化」する・・・
である。こうした、ごく一般的なセールスの流れは、当然にもわれわれの商売にも当てはまる。つまり、
①募集その他によってホステスを入店させ、
②ホステスの写真を撮って宣伝し、
③電話がなったら「いい子ですよ」と勧めて予約をとり、
④来店したらアルバムを見せて「決め」にかかり、
⑤入浴料その他を集金して、案内する。
⑥上がってきたら「聞き込み」=アフターフォローをして「会員」になってもらう・・・
流れは、まったく同じなのである。というより、それがセールスである以上、当然にも同じ流れをたどることになるわけである。
ここで大切なのは、その案内=上がりまでの流れを即自的なものとして「今までそうしてきたら」「どこでもそうしているから」と自然発生的にとらえるのか、対自的=目的意識的に「セールス」の流れとしてとらえるのかということである。それを「セールス」の流れとして意識的にとらえることができるなら、セールス論の立場から、その個別的な一つひとつの課題=段階をさらに深化させることができるのではないかということなのである。そして、まさにそこにこそわれわれが獲得しようとするポイントが存在しているのだといえる。
たとえば、われわれにとって今日的には常識となった地方求人誌や HP を通じた積極的なホステス募集のやり方も、日々の営業を「セールス」として理解しない以前の金津園では(札幌に別店舗をもつ以前のホワイトハウスを除いて)およそ考えられないことであった。現在のわれわれの地平からすれば信じがたいことであるが、かつてホステス募集といえば、多く、「漫遊記」を見て応募してくる他店からの移籍組をただのんびりと待っているだけという状態だった。つまり「商品の仕入れ」という課題が、まったくの偶然性にゆだねられていたわけである。(もしくは、せいぜいのところ事業主体者として極めて屈辱的な「ホスト回り」)
商品の宣伝については、どうか。
現在、金津園のほとんどの店舗がホームページをもつようになり、 HP を通じた宣伝を行なっている。しかし、 3 年前までは「宣伝」といえばどの店舗も「漫遊記」「ヘヴン」のみだったのであり、 HP を持つようになった現在も、写真の入れ替えや HP の更新などアクセス増大のための取り組みを意識的にやっている店舗はまだまだ少数派である。また、ネット上の宣伝に欠かせないメルマガに至っては、まったく数えるほどの店舗しか実践していない。つまり言うなれば「宣伝」というひとつの課題が「慣例にならって雑誌に写真を出す」程度のものとしてしか位置づけられておらず、「セールス上の必須課題」としては、まったく意識の俎上(そじょう)に上がっていないということなのである。
電話でのアポイントメント=予約に関しても然(しか)りである。
これは、今後のわれわれの課題でもあるが、電話対応はわれわれの商売にとってある種「命綱」のようなものであって、一本の電話をいかに大切にできるかが予約獲得の要といえるわけである。実際、お客様から「いろいろ電話してみて、一番対応のいい店に決めた」という声を常に聞く。客のふりをして電話してみればわかることであるが、電話対応に関しては本当にさまざまであって、よくこんな対応で商売が成り立っているものだと思わせる店も多い。一方、対応の良い店であっても、教育の結果というよりは、それなりにスキルのある人間がたまたまフロントに座っていた結果と思わせることが多い。つまり、「命綱」だと誰もが否定できない電話対応に関してさえ意識的な取り組みがあるわけではなく、自然発生的=無意識的、もしくは即自的な状態に屈服してしまっている。
商品説明=営業に関していうなら、一人ひとりのホステス=商品のセールスポイントをお客様の好みにあわせてキチンと言えるレベルを、どれだけの店舗=スタッフが実現しているだろうか。また、何をセールスポイントとするかに関して当該のホステスとのすり合わせをどれだけやれているだろうか。商品説明に必要な「カタログ」=アルバムの類がどれだけ豊富に用意されているだろうか。
一事が万事、こういう状態であって、乱暴な言い方をすれば、金津園は世間一般の「セールスの常識」から 10 年単位の遅れをとっているといってさえよい状態なのである。
こういう状態を 100 パーセント脱却するには、われわれの中に少なくとも世間一般で常識となっているレベル程度の「セールスの常識」が必要であり、また、みずからの仕事内容を「セールス」として理解する意識と努力が必要である。
自らの仕事はセールスであり、自分は「セールスマン」なのだということ。「風俗業をビジネスとして考える」といった場合の出発点は、そこにこそあるのだといえる。
■こうした観点から、次にわれわれ男子スタッフの仕事内容をビジネスあるいはセールス(マーケティング)というファクターを通じて考えなおしてみたい。
まず 商品の仕入れ であるが、当然のことながら、固定した仕入先があるわけではない。また、仕入れたいと思ったときにすぐに仕入れが可能なわけでもない。現在のところ、ほとんどすべての店舗が不確定要素の大きい、はっきりいえば「いつあるかわからない」面接に頼っているというのが現状である。
これでは不安極まりないといわなければならない。
したがって、まずもって安定した商品供給のルートを作り上げることが、商品不足に陥らない必勝の課題となる。われわれの場合、このルートを地方求人誌とリクルート HP に求めたわけである。
求人誌による地方求人は、もともと金津の移籍組に期待できないところから、広く全国に人材を募りたいという希望からはじめたことであったが、まったくの風俗素人を多数獲得できたことは、望外の成果であった。風俗経験のない応募者は、ある意味 R-Group の路線と考え方において基礎から教育することが可能であり、店のカラーを作り上げていくうえで、必要にして不可欠な素材である。また、他店舗との条件比較を常に考える人材とは違い、入店から卒業まで、一貫してわれわれと共に行動する人材は、文字通りわれわれの仲間であり、ある意味「同志」である。こうした素材をどれだけ持てるかが、店の実力そのものといってもよいのである。この点、地方から R-Group だけを頼って来る素材の獲得を目指したことは、単に獲得数だけでは計れない組織としての強みを、われわれにもたらしたといえる。
リクルート HP に関しても同様で、東海圏のみならず全国からの応募を考えたとき、絶対になくてはならないものである。また、その HP のボリュームが、そのままその会社=グループの大きさ=信頼度を測る指標となるのであって、ようするに同じリクルート HP でも「ショボい」ものでは逆効果となることもあるのだということは、よくよく自覚しておかなければならない。これは、求人誌に関しても同様である。デザインはそのまま体(たい)を表すのである。このことに関しては宣伝の項でもう一度触れる。
ところで、今、女性求人をめぐってひとつの「革命」が進行しつつある。すでに関東を中心にしていくつか見られる WEB 上の「スカウトサイト」がそれである。
これまで各個別的な女性が風俗店に応募する道筋は、それが求人誌を通じてであれ、 HP を通じてであれ、店舗への電話もしくはメールという直接的な応募というのが一般的であった。というより、それ以外のかたちはありえなかった。ところが、ここ数ヶ月の間にスカウトサイトなるものが WEB 上に出現し、これまで、言ってみれば「直接売買」であった風俗求人を「オークション」形式に変えてしまったのである。これは求人のあり方の根本的な変革といってよい。現段階ではそれほど大きな影響はないようにも見えるが、これは正直すさまじい変革であって、そのもたらす影響の大きさについて、しっかりと見据える必要がある。
いわゆるスカウトサイトにおいて、応募者は希望の店舗に直接応募するのではなく、まずスカウトサイトに自らの名前とプロフィール、可能ならば写真付きで登録する。その登録者に対して、ほしいと希望する各店舗側がスカウトメールを送って入札形式で応募者を獲得するのである。したがって、当然のことながら、もし「商品の仕入れ」という分野において、こうしたオークション形式が主流となった場合、いい素材であればあるだけ、各店舗の獲得合戦になる可能性があるということである。ということは、また給与その他の労働条件の緩和合戦になるとも予想される。
こうした WEB 上の人材オークションは、すでにいわゆる「 Yahoo !リクナビ」などにおいて先行的に取り入れられてきた手法であり、インターネットの発展とともに必然となった求人のやり方ではあるが、こうした手法は、それまで求人を真剣に考え求人誌その他の取り組みをしてきた店舗と、そのあたりをあまり考えてこなかった店舗の差を、スカウトサイトに求人登録することとスカウトメールを送るという、ただその一点において平準化するものであり、求人にかけるエネルギーとアイデアの今ひとつの飛躍をわれわれに迫るものである。
今後、最悪のパターンとして最も考えられるのは金津園ワールドが、この種の求人サイトをやり始める可能性があるということである。そうなった場合、スカウトメールにおける魅力ある内容の追求をはじめ、サイトそのものの大幅な拡充など、 WEB 戦略において金津園内他店舗の追随を文字通り許さないレベルを、現段階のうちから準備する必要がある。また、場合によっては、スカウトサイトそのものを自ら開設し、自家運営することも含め検討していかなければならない。
スカウトサイトに関しかなり危機意識をもった書き方になったが、現状風俗界の応募にあって、スカウトサイトに登録している女性個人はごく少数であり、また、写真付きで自己宣伝するという行為のもつある種の「いやらしさ」からして、われわれの望む人材がそこにあるとはあまり考えていない。実際、登録者はかなり風俗ズレしていると思われるものが多い。しかし、インターネットの発展、もしくはインターネットを通じた情報流通の全社会化を展望したとき、近い将来、風俗においてもこうした求人のあり方が一般的となる可能性を否定できないのである。
求人=ホステス供給に関しては、古典的なやり方もある。ホスト経由がそれである。
・・・(省略)・・・しかし、ホストに求人を期待するようでは、われわれは仕事に理想を語ることはできない。 ホストを経由した求人はいっさいおこなわない。これは今日的なR-GROUPの基本姿勢である。
さて、商品の仕入れは求人誌にせよ、 WEB にせよ、長期継続的な取り組みが必要であるとはいえる。決まった供給先がない以上、広く全国に応募を求める態度は今後も継続していく必要がある。効果的な求人は応募者の立場で考えたとき、そのヒントはつかめるのではないかと思う。
・求人誌における魅力的な紙面
・ HP における膨大な情報量
・グループとしての明確な路線と方針、
・旗幟(きし)鮮明であること。
総じて、知名度と信頼度をアピールすること、等々である。
一方、地方求人といった場合の、人脈作りも今後重要な課題となる。もともと地方に人材を求めるといった場合、根本的には当該地方に十分な求人がないことを前提としているわけであり、またわれわれの仕事のもつ性格と応募に際して払拭しがたい不安感を解消するものは、やはり先人の「口コミ」であり、その口コミを組織するものは、なんといっても人脈なのである。京都に沖縄村ともいえる沖縄人脈を作った例もある。こうした例に学びつつ、太いパイプを作っていくことである。
次に 商品の宣伝 について。
仕入れた商品が効果的に宣伝され、結果として来店=販売につながるために必要な課題とはなにか。どのような宣伝が効果的といえるのか。おおまかにいって、必要な情報が的確に、また時宜(じぎ)にかなうかたちで供給されることであると思う。また、消費者にとって選択肢があまりにも多い今日の情報事情を考えると、他を圧倒する情報量の多さが求められると同時に、ある種の「 囲い込み 」も必要となってくるのではないかと考える。ただただ宣伝量を多くするというだけではなく、宣伝の質・媒体・方法、その他において綿密な分析と検討は、どうしても必要になってくると考える。
さて、効果的な宣伝とはなにかを考えようとしたとき、非効果的な宣伝の実例をあげ、その対比において考えると大変分かりやすい。
他店舗の宣伝に関する漫遊記その他の雑誌・HP上に散在する「顔出し写真」にまずは注目してみたい。決してそれとしては異性の注目を引かないつくりの顔をそのまま出そうというその宣伝の意図するところはいったいどこにあるのだろうか。そこには宣伝に関するいくつかの誤解が存在しているように思う。
まず、「私の顔はかわいい」というホステス本人の誤解である。次に、顔出ししてほしいという本人の希望をそのまま受け入れている店側の誤解もしくは判断の誤りである。そして、「顔出しすればPが鳴るかもしれない」と、考えているホステス・店=宣伝主体の、需要に関する誤解である。
金津園ワールドにあまたリンクされているホステスの個人HPはどうか。
結論的にいって、そこにあるのは、宣伝を目的としたものというより、ホステス個人の趣味の世界とでもいうべきものである。商品としての自分自身を効果的に宣伝しようというものではなく、世の中にあふれている個人趣味サイトを真似てつくってみた・・・といったものだといえる。
・・・(省略)・・・
はたしてこのようなサイトとそこに描かれた本人像=肉声が、顧客の需要をうまくすくい上げてP指名につながるものであるのか、甚だ疑問というほかはない。むしろ、当該のホステスのイメージをダウンさせる結果しかもたらしていないのではないかとも思えるわけである。自分の仕事をビジネスとしてとらえ、自らの商品価値を高めることに真剣になるのではなく、趣味のためだけにつくっているのであり、そこで満足されるのは自分自身の顕示欲だけなのであって、このようなサイトは店側の判断によって禁止されてしかるべきであると考える。
※ホステスの個人 HP に関しては、雄琴のホステスが自覚的である。たとえば「ゴールドクイーン」や「マキシム」の HP にリンクされているホステスの個人 HP をみよ。化粧・髪型・衣装に凝ったそれ相当の予算をつかった撮影、吟味した写真とフラッシュを多用したインターフェイス、それらを通じた自分のイメージづくりにきわめて真剣である。
ホステスの HP であれ、店の HP であれ、雑誌の写真であれ、非効果的な宣伝の特徴は、「何を訴えたいのか」あるいは「何を訴えるべきなのか」がもともとはっきり自覚されていないという点にある。商品のどのような質が消費者に受け入れられるのかが分析しきれていないがゆえに、 商品の持つ多様な質の中から、とりわけ「宣伝に役立つ質」の見極めと抽出ができない ということなのである。結果として、顧客にとってどうでもよい情報が無自覚に流され、当然のことながら P 指名につながらないということになる。
宣伝が効果的に貫徹されるためには、主体と客体あるいは宣伝主体と宣伝対象との整合性ある関係が成り立つことがどうしても必要である。要するに、対象が欲するものを提供する、あるいは欲したくなるものを提供することによって、そこに有機的な連関をつくるということである。主観的で一方的な押しつけではなく、対象との生きた呼吸が、そこになくてはならない。たとえ、「顔出し」できるホステスさんであっても「出したいから出す」とか「出せるから出す」というのではなく、顔を出すことによって P 指名が期待できるから出すという判断が必要なのである。またホステスさんの宣伝に関し、「少しポッチャリである」とか「胸が小さい」など生身の人間として当然「瑕疵(かし)」が存在するわけであるが、マイナスポイントを隠し、プラスポイントだけを強調することによって、イメージ作りを優先するなどの努力である。
宣伝媒体
さて、われわれが現在、宣伝媒体として使用できるものは、雑誌・ HP ・メルマガの3つである。細分化するならば、以下の 10 種になる。
漫遊記
ヘブン
全国誌〔全国風俗誌・週間大衆〕
PC 版公式 HP
携帯版公式 HP
携帯版最新情報
ホステス別特集 HP
PC 版公式メルマガ
携帯版公式メルマガ
夜遊び版 VIP メール
これらは個別的に独立した媒体というよりも、それぞれが相互にリンクしあい、連動しながら全体としての R-GROUP のイメージを日々作り出しているのだと考えたほうがより正確である。われわれは、これらの媒体の持つ特殊な属性と役割を理解し、その媒体がもっとも効果的に顧客の購買意欲を刺激するやり方を考えていくのでなければならない。つまり何をどのようなものとして、そして何を使って、どのように伝えていくのかということである。
インターネットを通じた宣伝
まず、 PC 版・携帯版を含めた HP およびメルマガなど、インターネット関連の宣伝媒体から考えてみたい。
総務省の「平成 16 年通信利用動向調査」によれば、インターネットの利用者数は 7948 万人、人口普及率は、 62.3 %に上る。また、世帯のブロードバンド利用率が 60 %を超え、逆に ISDN 、電話回線(ダイヤルアップ)は減少しつつある。また、個人のインターネット利用端末の割合をみると、パソコンからの利用が最も多く、 6416 万人、携帯電話・ PHS ・携帯情報端末からの利用者は、 5825 万人(前年比 1341 万人増)で、モバイル化が一段と進展している。パソコンと形態電話を併用する人は、 2 人に 1 人( 54.1% )という結果である。
総務省の調査による「インターネットの利用者数」は、 6 歳以上を対象とし、パソコン・ PHS ・携帯電話・携帯情報端末・ゲーム機・ TV 機器などのうち、 1 つ以上の機器から利用している者を対象としていることから、ストレートにわれわれの宣伝対象とする層の利用率を表したものではないが、インターネットの世帯普及率が 86.8 パーセントとなり、携帯電話利用者の過半数が「 10 回に 4 ~ 6 回以上インターネットを利用」(同時に音声通話のみの利用が大幅に減少)という結果を見るとき、宣伝戦におけるインターネットの優位性は疑いようのない事実というほかはない。実際、 5 ~ 6 年前まで、インターネットの利用人口が 10 パーセント足らずであったことを考えると、驚異的な伸び率であり、謂うところの「ここ 5 ~ 6 年で情報流通のあり方が全社会的レベルで根本的に変わった」という事実に、あらためて活目すべきである。
HP やメルマガなどのインターネットを通じた宣伝は、今や「あったほうがよい」というレベルのものではなく、それなくしては一切が成り立たない死活的なツールとなったということである。この時代の急速な変化に対応し、身震いするような緊張感をもってこの現実をとらえきるのでなければならない。
一方で、このような情報流通のあり方の根本的な変革は、必ずしもわれわれに不利な条件ばかりを強制するものではない。考え方=方法によっては、極めて有利な武器を手にしたともいえるのである。もともと TV ・ラジオなどの電波にせよ、新聞・雑誌などの活字にせよ、その宣伝のための手段はスタジオ・放送権、あるいは印刷所とその流通手段などの巨大な資本を所有する階級が握っているのであって、一個人や零細企業が同様の手段を手にすることなど出来ようもなかったわけである。しかし、インターネットの出現によって、 たとえ資本をもたなくても HP 作りの知識と手段、良いコンテンツさえあれば、たとえば一個人が大資本に匹敵するような宣伝力をもつことができるようになった ということなのである。(たとえば決して正確な比較とはいえないが、サンデー毎日の発行部数が毎週 16 万部、金津園ワールドのアクセスが一週間で 17 万であるという数字を挙げておく。)
さて、 HP ・メルマガなど総じてインターネットを媒介とした宣伝の最も重要な役割は、リアルタイムでの情報配信という点にあるといってよい。この場合に最も顧客の関心となる中心課題は、第一に具体的なホステスの出勤状態とその空き情報なのである。つまり商品の在庫とその販売可能数である。
現在最も新しい資料(平成22年通信利用動向調査)では以下のような状況である。
インターネット等の普及状況
(1) インターネット利用者数及び人口普及率 (個人) 平成22 年の1 年間にインターネットを利用したことのある人は推計で9,462 万人と、前年に 比べ54 万人の増加。人口普及率は78.2%となった。 インターネット利用者を利用端末別にみると、「パソコン、モバイル端末(携帯電話・PHS等) 併用」が最も多く、6,495 万人(利用者全体の68.6%)で、次いで、「パソコンからのみ」が1,509 万人(同15.9%)、「モバイル端末からのみ」が744 万人(同7.9%)、「パソコン、モバイル端末 ゲーム機・TV等のいずれも」が630 万人(同6.7%)となっている。
・・・(中略)・・・
(6) 携帯電話及びパソコンの利用率 (個人)
携帯電話及びパソコンの個人利用率をみると、携帯電話(73.6%)がパソコン(67.4%)を6.2 ポイント上回っている。年齢階級別にみると、20 歳未満の階級では、パソコンの利用率が携帯電話よりも高いが、20 歳以上の階級では、いずれも携帯電話の利用率がパソコンを上回っている。
現資料をあたってみてほしい。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000114508.pdf
ほんの 2,3 年前までは、このような情報さえ、いったん目当ての店に電話をして確認しなければならない状態であった(しかも「振り替え」を前提とした店の場合、正確な情報を得ることすらできなかった)。しかし、本来それなりの紳士にあって風俗店に自ら電話をかけ出勤情報や空き情報を確認するという行為は、大変面倒なものである。面倒というのは、風俗店に電話をかけるという行為そのものが、大人の男性としてためらわれるような「格好の悪いこと」だということなのである。出来ればそのような行為は、予約の際の電話一本のみで済ませたいわけである。自分が、その劣情の解決のために風俗店の男子従業員と話すという行為のなかに、どうしても男としての「恥」を感じないわけにはいかない。そういう男性心理を、是非とも理解すべきである。
リアルタイムで更新される最新情報は、このような男性の心理を踏まえ、出勤とホステスの空き情報をお客様が携帯でアクセスすることによって直接自分で確認できるようにしたという点で、きわめて画期的なものである。お客様は、この携帯版の最新情報にアクセスすることで、出勤と空き情報を簡単に知ることができ、もし希望なら予約の電話を一回かけるだけでお遊びを約束されることになるわけである。風俗店に電話をかけることを何とも思わないお客様にあっても、このリアルタイムでの空き情報は極めて有用であって、本来のインターネットの特性を最も効果的に生かすものだといえる。
ここで、お客様の「囲い込み」に関してひとこと触れておく。東海圏の風俗店がソープランドのみならずヘルス・デリヘルを含め多様化し、また金津園 60 店舗との競合が熾烈を極める情勢下にあって、不特定多数の顧客層に対し広く宣伝を強める以外にも、既に獲得した顧客を囲い込んで離さない努力がどうしても必要となってくる。こうした観点をもって数ヶ月前から「夜遊びガイド」が顧客の囲い込みと称して VIP メール会員の再編管理を提案してきた。
現行、新人情報・出勤情報その他がそれぞれ店舗別に配信されているわけであるが、受け取る側は一括 R-Group の VIP メール会員として登録されている関係上、 3 店舗の情報がメール会員全員に等しく(言い方をかえれば無差別に)配信される状態となっている。しかし、お客様の中にはたとえば新人情報だけがほしいとか、ロイヤルの情報だけがほしいという方もいるはずだ。だから、メール会員のニーズを細分化し、再編し、ニーズに応じた情報だけを配信するようにするべきだ、というのである。また、再登録に際して氏名・住所も登録してもらうという提案さえある(これに関してはある程度カスタマイズが可能である)。「夜遊び」は、これを顧客の囲い込みに役立つと主張してきた。
われわれは、お客様の囲い込みを一般に否定するものでもないし、それどころか、今後絶対に必要な課題であると認識している。また、「夜遊び」のいう「情報の選別配信」も意味のあることだとは考えている。
しかし、顧客を囲い込むということは、けっしてメール会員の再編・管理が軸ではないとも考えているのである。
もともと、顧客を囲い込むとはどういうことか。それは、①他店への流出を阻止する、ということであり、②繰り返しの利用を促進すること、である。その根底にあるのは、やはり根本的な支持者=ファンづくりであって、顧客をとことん R-Group のファン(信者)として組織しぬくということなのである。この人対人、スタッフ=お客様のつながりを抜きにしたところでの「囲い込み」論は、やはり意味をなさないと言わなければならない。(とくにわれわれの商業圏の規模を考えるとき、この人対人という契機は絶対的に重視されなければならない。)
さて、とはいえメールを通じた宣伝は、いまや HP とならんでインターネットを通じた宣伝戦の基軸的役割を果たすものである。もともとインターネットを通じて商品を宣伝しようとしているわれわれは、いってみれば インターネット販売をやろうとしている ともいえるわけである。インターネット販売の基軸は、いうまでもなくホームページとメルマガであって、 Yahoo にせよ楽天にせよ、ここにとことん力を注いでいるのは、あたかもインターネット時代以前の販売の基軸がパンフレットと DM であったように、この2つがインターネット販売の2大基軸だからである。
メルマガの構成その他に関しては、大手のメルマガを自身が購読し、そのノウハウを自ら習得する必要がある。メルマガは、 HP への招待状であると同時に、それ自身が宣伝の主役ともなり得るものである。魅力あるメルマガは、それだけでも読者の心をつかむことができるのである。
雑誌を通じた宣伝
雑誌といわずインターネットといわず、それがどのような役割を果たすべきであるか、あるいはどのような役割を果たすことができるのかは、時代との呼吸のなかで考えられるべきであることはいうまでもない。また、それぞれはまったく同じ任務を背負うわけではなく、それぞれが得意とする役割があり、その役割の分担を正しく理解して使い分けることが肝要であるといえる。
かつて雑誌は、風俗業のほとんど唯一の宣伝手段として、大きな役割を果たしてきた。店のシステム、ホステスの在籍とそのビジュアル(=写真)、アクセス方法など、来店につながるすべての情報が、この雑誌の誌面を通じてお客様に宣伝されて来たのである。だからこそ、各店舗は軒並みこの雑誌づくりに力を注ぎ、また雑誌社もその影響力の強さから、とくに 2002 年あたりまでは、あたかもひとつの「権力」であるかのように振舞ってきたわけである(とくに「 City Heaven 」誌。その高額な広告料は一種の独占企業気取りといってよい)。しかし、古参の同志は周知のとおり、 R-Group にあっては「 City Heaven 」との契約を解除した 2003 年の数ヶ月間も、一向売上が下がることはなかった。つまり、この時点において、すでに顧客の来店ルートは、「漫遊記」があったとはいえ、ほとんど 100 パーセント、ホームページ経由に移行していたと判断できるのである。
この事実は、雑誌を通じた宣伝のあり方の根本的な改革をわれわれに要請しているといえる。つまり、もし雑誌宣伝をまだ必要と仮定するならば、それはすでに顧客の来店ルートを創出するためのものとしてではなく、むしろ店の知名度とイメージづくりのためのツールとして存在しているのではないかということである。今年の上半期、ホステス応募のきっかけが HP よりも雑誌(とくに「 City Heaven 」)が多かったことからも、この点はとくに検討されなければならない。
このような雑誌宣伝の考え方の転換は、現行われわれが行なっているホステスの写真を中心とした誌面づくりを直ちに否定するものではないが、しかし、これまでのあり方を無批判的に継続することをよしとするものでもない。「 R-Group の現段階」でも述べたところであるが、声高な呼び込み文句がなくとも、高級感ある店のイメージづくりは、最終的に顧客の関心を決定づけるものとなるのであり、同時にホステス応募の最大の契機となるものである。
雑誌を通じた宣伝は、この点から最大限検討が加えられるのでなければならない。
一方、商品の宣伝という分野は当然にも顧客の開拓という分野と直結する。顧客の開拓=再開拓は、現場における接客を基軸的総括点としながらも、より広く裾野を広げる意味でネットの海を対象としたものとして考えられなければならない。
電話応対(予約の取り付け)
電話応対は、予約の取り付け=営業の命綱をなすものとして、最重要視されるべきものである。電話応対に関しては、一般的=社会的に蓄積されたノウハウがあるのであって、真摯にこれを学ぶべきである。
1.相手が見えない・記録が残らない・一方的である、という電話の特性を踏まえた応対を心掛けること。
2.電話をかけて頂いてありがたい、予約を入れて頂いてありがたい・・・という気持ちを表現すること。
3.正しい敬語をマスターすること。
4.予約を取ったあとに、名前を名乗り、責任の所在を明らかにすること。
5.総じて、現在、日本のビジネスシーンで一般的となっている電話応対の常識を自らのものとすること。そのために、他流試合してみることである。ビジネスというファクターを通してみた場合の電話応対は、その参考例をホテルの電話応対に見つけることができる。
対面しての接客(商品説明)、販売=集金
対面しての接客は、営業の要であり、男子スタッフの接客人としての力量が直接にも問われる場であって、われわれは、喜び勇んでこの課題を自らのものとしなければならない。
さて、接客における男子スタッフの仕事は、以下の何点かに整理される。
■予約を入れて下さっているお客様の名前、顔、履歴、来店方法、指名、タバコなど、接客に必要な、当該のお客様に関する情報があらかじめ頭に入っていること。これがなくては、そもそも接客は成り立たないのであって、これらの情報を徹底的に頭に叩き込むこと(もしくはデータ化すること)こそ、接客業の基礎中の基礎であるといえる。
■適切な場面で、きちんとした商品説明ができること。つまり、取り扱う商品のデータが頭の中にきちんと入っていること。われわれに引き付けていうなら、ホステスさんのデータ、つまりスリーサイズ・年齢・プロフィール・セールスポイントがきちんと暗記できていること、である。(商品知識を豊富に持ち、顧客の心をつなぎとめ、顧客のニーズを引き出し、顧客のニーズに応える商品の選定=販売ができること。)
■顧客の購買意欲を高めるための、質の高いカタログ=宣伝資料がそろっていること。また、質の高いそれらのカタログを製作すること。
■販売=購入は、セールスマンとの信頼がその架け橋となることを踏まえ、お客様と信頼関係を醸成するような会話=セールストークができること、である。
販売=指名予約・写真案内の確定と受付=料金徴収、案内=サービス料の代理徴収は、あたうかぎりの丁寧さと誠実=正確さをもって、執り行われる必要がある。料金徴収には、一般的にいって、窓口精算とテーブルチェックの2通りがあるが、われわれの場合は 100 パーセントテーブルチェックになる。自らお客様のテーブルに出向き、声を出して料金を正しく頂く。ここでの間違いは断じて許されない。特に 100 分と 130 分にコースが分かれている店舗の場合は、注意が必要である。また、会員・非会員で割引率が違うことにも留意しなければならない。お金の数え方にも、一定のルール作りが必要である。
また、お客様のお金(またはクレジットカード)を預かる場合には、素手で預かるのではなく、より印象のいいやり方として、たとえばブランドショップで行なわれているようなバインダーを使ったやり方も検討していくべきである。
アフターフォロー=安定顧客化
アフターフォロー、というのはつまり「聞き込み」と次回来店の取り付けであって、男子スタッフの接客の真骨頂は、ここにおいてこそ発揮されるべきである。アフターフォロー=聞き込みは、従来、①接客に当たったホステスのサービス内容を点検する、という意味合いと、②お客様がどの程度そのサービスに満足されたか(顧客満足度= CS )をはかるという意味合いにおいてなされてきた。また、もし万が一ホステスのサービスが十分でなかったり好みが合わなくて、指名が頂けそうにないと判断された場合には、アルバムを用意してお客様にニーズにあったホステスを推薦し、同時に非会員様・ご新規様には、入会を勧めて、次回の来店につなげる努力をするわけである。
こうしたアフターフォローは、だいたいどこの店舗においても従来なされてきたものであって、それとしてはソープランドの通常のサービス以上のものとはいえない。大切なことは、これらのアフターフォローが、顧客情報の収集・管理と正しく結びついた文字通りのパーソナルサービスとして行われるかどうか、また、それが当該のお客様の好みや心理を熟知した具体的な人格=担当スタッフによって、「人間くさく」行われるかどうか、という点にある。要するに、同じアフターフォローをするにしても、通り一遍のマニュアルどおりの問答では、お客様の心に残るサービスにならないのである。誠実で正直で決して無理押ししないとか、好みを無視したごり押しをしないなど、やはり自分のことをよく理解しわかってくれているという安心感が、リピートの決定的な動機となるということである。また、そうしたサービスは、お客様に対して「店における自分の存在感」や、会員であることの優越感を実感させるものとなる。この存在感・優越感をお客様の心の中に生起させることこそ、接客の核心である。こうしたアフターフォローは、顧客情報がきちんと頭に入っているのでなければやりぬくことができない。この点からも接客の基礎としての顧客情報に基づいたサービスを、営業の根本にすえるべきである。顧客を安定させ、リピートの多い店づくりは、こうした男子スタッフの努力なしには到底実現しえないものである。
■さて、風俗をビジネスとして考えるといった場合、すでに述べたように、商品の仕入れから販売・アフターフォローまで、さまざまな段階が存在するわけであるが、いずれにしても利益を求め、顧客のニーズとの整合性を常に意識しながら実践を積み重ねることで、それぞれの課題はさらに深化し豊富化していくことができる。そうした問題意識が、今度は現場サイドから提起されることを真に期待するものである。
2005 年下半期の営業=組織方針
「現段階」で打ち出した方針は、われわれの今後の活動の基本的な方針であって、今後も継続して実践されていくべきものである。また「現段階」は、ある意味 R-GROUP の数年間の取り組みの、すべてとは言わないがその主要な実践に関してそこにはらむ根本的な問題をえぐり出し路線化した綱領的文書であって、今日的になお有効であり、今後も活用されていかなければならない。
さて、 2005 年下半期から 2006 年に向けての方針を明らかにするうえで、「はじめに」の部分で述べた当面するわれわれの課題・目標に立ち戻ろう。そこでは、以下の 3 つのことが掲げられた。
1.接客人としての自分を磨くこと
2.組織人としての自分を磨くこと
3.事業人としての自分を磨くこと
課題と方針は、すべてこの 3 点に集約される。また、この 3 点は、われわれがわれわれである限り、決して変わることのない普遍的なテーマであるといえる。この 3 つの総括点につねに立ち返り、個別的=組織的に血肉化し豊富化していくことが、われわれの事業を成功させていくカギとなるものである。
具体的には、すでに縷々述べたことがらのなかに方針化されているが、とくに接客の課題に関しては、はっきりと「リッツカールトン」式の接客術に学ぶということを具体的な方針として打ち出しておきたいと思う。とくにパーソナルサービスという考え方は、すぐにでも取り入れていかなければならない。
組織的には、指導系列に従った組織建設を今後も推し進めていく。
指導部は各級指導機関に対し、責任を取りきっていくことである。また、スタッフはすべて上級の指導に従い、その指導の下でいっさいの課題を実現するために全力をつくすという立場に立ちきるべきである。不健康な気分から生じる不平不満や突き上げは断じて許されるものではない。繰り返すが、もともと不平不満とは、それがどのような「正当性」を繕おうとも、自らの任務=立場的責任にたいする根本的な日和見主義をその根源としているのであって、組織を通じ共同してビジネスを遂行していこうとする立場とは、まったく無縁のものであるといわねばならない。
こうした組織上のさまざまな歪みと闘っていくうえで大切なことは、路線と指導系列に対する正しい意味での忠誠心を持つということである。忠誠とはいわゆる武家社会におけるような盲目的な服従という意味合いでいうのではない。路線と方針、指導系列に対する忠実な使命感を持つ、ということである。この正しい意味での忠誠心を組織全体のものとするためには、路線=方針において徹底的に一致しぬくことが絶対に必要である。逆に、忠誠を誓えないということは、その路線に対して一致していないということを表しているのである。 R-GROUP の路線は、風俗をそのスタートとせざるを得ないわれわれが、ビジネスという考え方を手がかりに事業者として飛躍成長していく唯一にして正しい路線である。何があっても、徹底的に討論し、一致をかちとっていかなければならない。
われわれは、すべてのスタッフに対し「自分が事業主であったとしたらどう考えるか」という視点をもって仕事にあたることを求めていくものである。日々の仕事の中で、ときに求めすぎと思われるような厳しい指導があったとしても、それは、現状に満足することなく不断にチャレンジしていくための、いいかえれば、われわれ自身の飛躍と成長のための妥協なき闘争に他ならないのである。
【 2005 年後半の方針】
■男子スタッフは引き続き、一人ひとりが接客のプロとして自分自身の「接客術」を練り上げていく。とくに今後は「リッツカールトン式」のパーソナルサービスを R-GROUP の基本サービスとしていく。とくに、「リッツ」のクレド( credo )に代わるような、われわれ自身の接客哲学を作り上げる。
■フロント担当者は実質的な店舗責任者としての自覚をもち、考え行動する。とくに、商品の宣伝と販売に関しては、徹底してビジネスの視点からその戦術を立て、実践する。
■引き続き、ホステスの成長を心から願い、厳しくも暖かい指導を強めていく
■すべてのホステスに対し、再講習を強め、サービス内容の点検と向上をはかっていく。
■引き続き、宣伝戦略を飛躍的に強化し、ネット戦略をさらに推し進めていく。とくに WEB 関連で出来ることは、すべてやり抜いていく。とくに、 HP を通じた宣伝を、単なる「商品の宣伝」という段階から、たとえば「ライフスタイルの提案」のようなものにしていく。金津園と柳ヶ瀬をリンクするような「遊びの提案」をしていく。
■スタッフは、パソコンを使った自己表現を可能な限りやり抜いていく。
■雑誌を通じた効果的な宣伝に関し、さらに習熟していく。
■引き続き、幹部は指導部としての自覚をもち、自分自身の指導能力の向上のため不断に努力する
■沖縄・札幌をはじめ北陸・関西に地方求人をさらに展開し、素人の獲得に全力をあげる。
■ WEB 関連の新規事業を立ち上げる。
【以上】