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現場の接客起動論か、WEB戦争勝利起動論か
WEB戦争の敗北がもたらしたジャパンの閉店
2014年度1月度丹羽氏月報に寄せて

ジャパン(店名:ニュージャパンワールド=NJW)が閉店に至った経緯については最終的には加納水野線工事のための市への売却というに尽きるかと思うが、われわれが営業論上=店舗運営上とくに注目したいのは、かつて「1日100本金津園ナンバーワン」という栄華を誇った店舗が最後は見るも無残な姿に後退していった、その原因・中身である。その点について、若干の検討を行いたい。

周知の通り、ジャパンは21部屋を有する大型店であり、かつてはキャスト在籍数も50人を超え、男子も10名近くおり、客数は1日100本を数える名実ともに金津園ナンバーワンの店であった。それは当時誰もが認めることであり、少なくとも私の記憶する限り2000年を前後するあたりまでは、金津園はその集客力においてジャパンの一人勝ち状態であったといえる。
ジャパンの前を通るとき、顔見知りのスタッフに「忙しそうですね」と声をかけたことがあった。普通ならば「いえいえ、そんなことないですよ」とか「いやいや、ヒマですよ」などと言うものであるが、そのとき何のてらいもなく「おかげ様で・・」と返されたことが非常に印象に残っている。自信に満ちあふれたその受け答えのなかに、当時の流行店ぶりが伺えるかと思う。
また当時は、男子の数も多く来客がひっきりなしということもあったのだろうが、店の外に立つ「外専門」の立ち番のスタッフがいた。名前は忘れてしまったがジャパン歴10年以上の50歳がらみの男性だった。ジャパンは午後から夕方にかけて西陽の当たる立地にあり、彼はいつも真っ黒に日焼けしていた。
また男子スタッフは分業制になっており、外は外専門、来店客は来店専門、上がりは上がり専門のスタッフが接客していた。だから、上がり接客専門のスタッフなどは一日中上がり部屋にいてお客様としゃべっている状態だったという。上がってきたお客様同士がキャストの話題で盛り上がるというような光景も珍しくなかったらしい。
また、個室待機ではなく大部屋待機の店でもあり、常に部屋数以上のキャストが出勤していて、フリー客の写真指名が入るとラウンドごとに部屋交代になる。その際キャストには時間を無駄にしないための行動が求められ、指名がかかったキャストは私物カゴを持って階段を走るというような逸話がまことしやかに語られたものである。
私事ながらジャパンには3時間だけ勤めた経験があるが、面接の際社長氏が店の興隆ぶりを語ったうえで、その忙しさは「われわれがやってきたことが正しかったことの証だ」と自信満々に言っていたことを覚えている。

そんなジャパンの営業に影が見え始めたのは、2002年とか2003年あたりからではなかったかと思う。それはちょうど「漫遊記」「ヘブン」の時代からインターネットの時代への移行期であった。2004年には金津園のすべての店舗においてホームページが開設され、金津園における集客はそれまでの路上客引きの時代からネット上での客引きの時代へと変化を遂げていた。そしてホームページの出来栄えのよし悪しが、確実に店舗イメージを左右する時代に入っていた。つまりホームページに掲載されるキャスト写真とデザインの巧拙、メール配信などWEB関連のさまざまな取り組みがそのまま店舗イメージをつくり、したがって集客を左右するという情勢になっていた。言ってみれば、「WEB戦略」=「WEB戦争」の勝利者が、(いったんは)実店舗上の勝利者にもなるという新時代の到来であった。
問題は、その新時代の到来を迎えた結節点において、旧時代の雄であるジャパンがどう行動したのかという点である。

あくまでも私の印象だが、ジャパンはインターネットとホームページの力を甘く見ていたと思う。ジャパンが作成したホームページは、はっきり言って非常に出来が悪かった。ホームページビルダーで作成したB級品であり、デザインも色使いも良くなかった。今でいうと、「エデン」とか「想い出」のようなホームページであった。またキャスト写真も当時主流になりつつあったホテル撮影ではなく、単色のバックスクリーンを使った古臭いスタジオ撮影であった。顔出しが有利という思い込みがあったのだと思うが、P指名が期待できるお顔ではないお顔出しも多かった。そうしたすべてのことが、新しい顧客獲得においてネックになったと思われる。そして、その出来の悪いホームページはその後何年にもわたって公式ホームページとして公開し続けられた。その印象の悪さ、WEB戦略のつまづきが、結局は下降線を辿らせた原因なのではないかというのが私の印象である。

たとえば今日、ネット戦略上次のような点はわれわれにおいては常識となっている。

■ホームページのデザインは、店舗の印象を決定づける「店の顔」である。
■顔を出したからといってネット指名が鳴るわけではない。逆に顔を出すことによって指名が減ることも多い。
■写真はキャストの高級感を演出するツールである。下着だけではなく、私服・普段着によってもキャストイメージは変わってくる。
■いかにも風俗嬢っぽい服装よりも、今日的にはおとなしい普段着のほうが受け入れられる。
■WEB上の情報はつねに新しく更新されていなければならない。1日何度も更新され、更新時間が明示されるのは至極当たり前のことである。そのためにもホームページは業者経由ではなく、現場で更新できる体制がなければならない。当然したがって現場スタッフはWEB技術にある程度精通していなければならない。

こうしたことが、しかし、ジャパンにおいては非常に軽視されていたのである。というよりも、まったく自覚されていなかったのではないかと思われる。その後一度写真の作風が変わって、飲み屋のカウンターで下着姿のキャストが足を開くというような、あまり清潔感のない写真が使われたこともあったが、ホームページのデザインの悪さはそのまま引き継がれ、最終的にはそのホームページも廃止され、他の多くの店と同様貧弱なヘブンネットページのみが公式サイトとされた。結局、WEB戦略に躓いた2000年代中期以降、2014年1月の閉店まで、かつての栄光を取り戻すことは一度としてなかったように思われる。

このようにたどってみると、ジャパンの閉店は「市への売却」問題を除けば、WEB戦略の失敗が主な原因であり、WEB戦争の敗北による実店舗営業の敗北という教訓をわれわれに教えているのだと総括できる。これは、最後まで「ホームページは作らない」などと寝言をならべていた艶グループにしても同様である。WEB戦争の覇者が、いったんは営業上の勝利者になるというテーゼは、やはり間違いなく真理なのである。
そう考えたとき、やはりわれわれは、営業上必要なさまざまな要素に留意しつつも、まずはWEB戦争に勝利するために全身全霊をこめて邁進しなければならない、ということがあらためて思い起こされるのである。

さて、「WEB戦争の覇者が、いったんは営業上の勝利者になる」という言い方をした。
「いったんは」という言葉は「営業の結果はキャストの質・サービスの質・値段設定・立地などいろんな要素がからんでくるのであってWEBにすべての要因を帰せるわけではない」という意味を含んでいるのではあるが、それでもなお、まず端緒的・初期的にはWEBのもつ効果を否定できるものではなく、そればかりか第一義的に考慮されるべき戦略課題であるとさえ言えるというのが、われわれの偽らざる実感である。
たとえば、金津園中級店層の営業実績を概観したとき、このかんのジュリエット・ヴィーナスなどの躍進はホームページの改革と改革されたホームページの美しさにその要因を求めることはできないか。逆に、新進の中級店として大々的な宣伝を持ってスタートしたAquaが当初苦戦したのは、(加工しない)写真の不味さにその原因があったとはいえないか。ホームページのデザインやキャスト写真の印象によって店舗そのものの印象や信頼が醸成され、そのことによって集客が左右されるのは、もはや否定しようのない事実なのである。そのうえで、長期的にはWEBに加え上記諸要素を含めた総合力が、集客を左右するということではないかと考える。
ホームページがすべてを決定するわけではない。キャストサービスや男子スタッフの接客がすべてでもない。しかし、端緒的・初期的にはホームページの印象がかなり大きな比重を占めるということだ。そうでなければ、上がり接客にあれほど力を注いでいたジャパンが落ちていった原因を説明できないのである。

このあたりのことを、以前にも路線問題として検討したことがあった。というのは、2009年ごろになるか、われわれの「まずはネットで勝利する」という方針に異を唱えたレポートが出されたことがあったのだ。反論を検討しているうちにレポートを書いた本人が辞めてしまったのでそのままになっていたが、これを検討することは今日的な店舗運営の核心課題に迫るものになると思うので、少し振り返って考えてみたい。

出されたレポート(タイトル「聞き込み論」)は、抜粋すると以下のようなものであった。(全文は別途添付)

聞き込みをする必要性は、この業種の根幹をなすサービスが個室内で行われているところにあります。・・・・(中略)・・・・例えば、電化製品を提供するなら、目の前にある商品を手にしてもらい、機能性・デザイン性・利便性などを理解、納得してもらい購買意欲をもってもらいます。商品が見えたり予想できる物なら、売り手も買い手も『その価値』を見出すのは簡単です。では、我々が提供しているサービスはどうでしょうか。見えるものはデザイン性(コンパニオンのルックス)のみであり、ここにこの業種の底を浅くする根源が潜在します。まずお客様がそこに喰い付きます。なぜなら目に見えない機能性や快適性(サービス)より目に見えるデザイン性に価値を求めます。そこにお金を払う消費者の安心感があり、目に見えないサービスは期待感で補います。そして、そのニーズに合わせ店側はデザイン性を売る(コマーシャル)ことに専念します。
Rグループの今日の発展はそこに利便性であるリアルタイムを抱き合わせコマーシャリングしたところが大半を占めます。(注 特筆すべきはコマーシャリングを消費者だけではなく、商品の仕入先である女の子をも視野に入れ、既存の売る戦略からイメージ戦略『単に集客効果を狙うのではなく、店自体のイメージを先行させ直接的路線から間接的また多角的路線』に向けた先見力)
その先に…コマーシャルを続ける先に『高級感』は確立しうるのでしょうか。我々が目指すところは、デザイン性からもたらされる安心感ではなく、サービス性からくる安心感をお客様に根付かせ、デザイン性に期待感をもって来店してもらう店づくりです。すなわち『この店のサービス(男子接客も含む)は、いつ行っても最高や、今日の娘はどんな娘やろう』と認知され、贔屓にされることです。 その為の創造に向け、架け橋となる重要な任務が『聞き込み』です

また、同じ論調で「貴公子指針」と題したレポートでは次のように述べている。

リアルタイム(グループ事務局)の成功の傘の下で集客が見込める時代はやがて終焉をむかえます
当店が一流の最高級店を創造する上で、飛び道具に頼らず、地に足を着けた営業をするために、我々の顧客管理がこれから必ず重要となります。(太字深田)

異を唱えるというよりは、接客の最前線に位置する者として、事務局がリードするネットによる集客に頼ることなく接客人としての自らの仕事を通して顧客を維持し増やしていこうという現場の気概であったかとは思う。それ自体は非常に評価されるべき姿勢であり、接客人としての誇りや考えなしに日々の作業に埋没するよりは、よほど健全な姿勢であっただろう。
しかし、彼の論調のなかにはやはり自らの福原での聞き込みを中心とした現場接客の経験こそがソープ店繁栄の要であり真理であるという経験主義があるように私には感じられた。「飛び道具(注:ネットのこと)に頼らず、地に足を着けた営業をする」という言い方のなかにも、「まずはネットで勝利する」というわれわれの方針に対する違和感を彼が抱えているように受け取れた。また実際、そうであったろうと思う。

そこでまずは論点を整理する意味で、彼の持論に賛成できる部分と賛成しかねる部分に分けてみたい。

まず、聞き込みをしっかりとすること。男子の接客をとおして顧客との信頼関係をつくり、顧客を維持獲得していくこと。これらは文句なしに同意=賛成できる部分である。彼の指摘するところとは、聞き込みを通した日々のサービス内容の点検=指導の充実であり、飛び道具(ネット)に頼った営業のあり方のみでは売上は下がっていくだろうということであり、レポート全体を読むとさらにはっきりするのであるが、総じてもっとソープランド営業の本質(ひいては性の本質)に迫ろうではないかという指摘である。そうした指摘そのものは、もっともなものだと思うし、それ自体を否定するつもりもまったくない。むしろ、インターネットを通じた宣伝を重視してきたこの数年間のあいだにも一貫して考えてきたことは、必要に迫られてそうしたネット営業に打ってでているが、ネットはいつかネットを辞めるためにやっているのだという意識ですらあった。
ネットを打たずとも、日々の接客のなかで、リピーターを増やし、ゴールドカスタマーを作っていくこと、そしてまたサービス内容の向上を日々追求するなかで店自体の権威を高めること、そうすることで宣伝しなくてもお客様が来てくれる状況を作り出すことこそが、営業の本道であり確実な成功の道だという根底的な認識である。この部分については賛成できるし、むしろこの点についてはパーソナルサービスをリッツカールトンに学ぶなどの取り組みも含めて、彼の入店以前に、彼以上に問題意識を持ってやってきた自負すらある。

私が賛成しかねるのは、彼のネット戦略についての認識が端緒的なところに留まっている点であり、それどころか現場接客を重視するあまり全体として「反ネット論」に傾斜している点である。ネットの重要性については彼も否定しないし、むしろR-GROUPはネットで成功してきたグループだという見方さえしている。そのうえで「今まではそれでよかったが、これからは現場の接客をもっとしっかりしないとそのうち売上は下がっていくぞ」と警告を発しているわけであるが、どちらかと言うと現場の接客のほうに比重をおいた論調を展開している点である。これは彼自身が現場にいるからということでもあるかとは思うのだが、その点を差し引きしてもなお、彼のソープ論の基調は聞き込み論と現場接客論に重心がおかれているように感じられる(さらに言えば「SEX論」?の深化)。
しかし、「ネットも大事だが現場の接客も大事だぞ」という一見当たり前のように思えるこうした主張こそが、実はわれわれを敗北に導く恐ろしいスタンスなのだということを、声を大にして強調しておきたいのである。このような主張の最大の問題点は「ネットも大事だが」とあたかもネットも重視しているかのような言い方をしながら、実際には現場におけるネットへの取り組みが軽視され、後回しにされ、結果としてスポイルされていく点である。現場に立つ人間の仕事が人対人の接客に限定され、WEBへの習熟から遠ざけられていくことがもっとも問題なのである。自分としては、こうした主張こそ、今日的にはもっとも弊害ある指導理念であるということをはっきりさせる必要があると考えている。

こんにち一般に「インターネットの重要性」とか「ホームページの持つ宣伝力」を否定する人はいない。否定しようのない現実が社会全体を覆っているからだ。しかし、否定はしないがその力を積極的に位置づけようとしない人も多い。それ自体としては否定できない古典的な現場主義を旗印にして実際にはWEBへの取り組みが後回しにされる。しかし、そうした理念・考え方・やり方のなかにこそ、敗北への陥穽がぽっかりと口をあけているのだということを、はっきりさせておきたいのである。
彼の論理展開を真似て言うならば、たしかに1対1の聞き込みや接客をとおして男子の力で再来店を促すことは接客人として何よりも大切であるが、しかし、WEBの力を通じて万余の顧客層に決定的な情報をリアルタイムで届けることこそが、今日的には最も重要なのである。上がり接客を通じて「認知され、贔屓にされる」ことも大切であるが、たとえばヘブンネットのなかで上位店を占めることや、WEBを通じて人気店イメージを人為的に創出することのほうが、もっともっと大切なのである。聞き込みを通じてキャストサービスの足りない部分を拾い上げ、個々のキャスト指導にフィードバックしてじっくり育て上げていくことももちろん大切なのだが、ネットの世界に女子応募の水路をつくりあげ「新人がバンバン入ってくる」状態にすること、そして「その新人情報を顧客層に対しネットでバンバン流すこと」のほうがもっともっと大切なのであり、またそれが当面の売上を保証する最大の方法なのである。
結局これは、顧客が店舗をどのように認知するのかということと、来店の水路・経路がどこにあるのかについての認識の問題だといえる。つまり、どの店にどんな女の子がいるのかという情報がなく、一回行った店のスタッフの情報と彼らとのつながりが唯一の遊び選択の情報となるような時代の営業論と、自宅に居ながらにして公開されたネット情報を取捨選択しつつ対象を確定してから来店する時代の営業論とは、根本的に違うのだということに思いを致す必要があるということであり、今日的には、売上の安定を初来顧客の一本釣り的なミクロな集客の積み重ねに求めるのではなく、ソープ顧客全体に投網を投げて獲得する方向に求めるというマクロな考え方が求められているということである。
彼の考え方でいくと、同じ顧客が繰り返し来店することを基軸に店舗運営を考えるということになろうかと思うが、私は常連顧客を大切にしながらも、それ以上に新規のフリー客が次々とR-GROUPを目指してくるようなサイクルをつくることこそが健全なあり方であると考えている。実際にも、今日のR-GROUPにおいて5年前10年前の会員様の来店はほとんどない。大雑把な印象で言えば、顧客は3年で入れ替わる。キャストにしても同様で、ほぼ3年で総入れ替えになる。また、彼のレポートにおいて男子の名前をお客様に覚えてもらうことが強調されているが、その男子スタッフさえも痛みなしには言えないがこれまで2-3年で入れ替わってきた(さらに言えばその彼自身も2年で辞めた)。店舗運営を固定的にとらえると、一本一本の接客の積み重ねの延長線上に店の繁栄があるかのように思えるが、実際の来店実態はきわめて流動的なものであり、顧客もキャストも3年ほどで入れ替わっていく。
この主客入れ替わりの激しい店舗運営において、店舗の認知=選択のための仕掛けを決定的に大きく作っておくことが何よりも必要な課題であり、今日的にはそれがWEBを通じたキャストの入店水路の建設、顧客の来店水路の建設なのである。だからこその「人気店イメージの人為的創出」であり、リアルタイム情報の提供であり、WEB技術の習得なのである。くどいようだが、そういうことをずっと言ってきた。そして、そういう考え方で店舗を運営してきた。その結果が、今日のわれわれの到達地平である。

まとめると、こういうことになる。
店舗運営上大切なことは「ネットも大事だが現場の接客も大事だ」と主張してネット戦略を軽視することではなく、現場接客の大切さを重視しつつもまずはネット世界において勝ち抜くことであり、ネット世界での勝利を通してリアル店舗の勝利をもぎ取ることである。先に述べたように、WEB戦争の覇者が、いったんは営業上の勝利者になる。しかし、それだけでは長期永続的な売上安定は望めない。WEBで獲得した瞰制高地(かんせいこうち)を確実なものとするためには人対人の契機を重視した現場に密着した接客が必要である。パーソナルサービスを基軸とした男子スタッフによる接客。古典的な講習指導と聞き込み、キャスト指導へのフィードバック。そして、そのいっさいを包括したさらなるWEB戦略の展開。その上昇スパイラルのなかにこそ、店舗の繁栄は展望できるということである。

 

ここで、ジャパンの閉店に話に戻す。
すでに触れたように、ジャパンは接客においていい加減な店であったわけではない。逆に接客を非常に重視し、上がり接客専門のスタッフをおいていたくらい接客には力を入れていた。そしてそれが自慢でもあり、評判にもなっていたのである。にもかかわらずネット時代の到来のなかで徐々にその集客力を失っていった。それはまさに、ネット世界で敗退した結果としてリアル店舗の生命力を失って行ったことを示しているのではないだろうか。
接客を重視しながら敗退していった店舗はほかにもある。たとえば小出店長時代の「宝石」。ラピスの優、まりあなどの有名ソープ嬢がいた。上がり接客(30分以上やれ!というような極端なもの)を徹底的に重視する古典的な営業を行なっていたが、コンパニオン補給ができずに顧客が離れ、結局閉店した。今は建物すらない。

ネット戦略での躓きが売上の低迷をもたらした例はほかにもたくさんあるが、ひとつ結論的にいえることは、2000年以降金津園において(古典的な上がり接客をやっていたとしても)ネット戦略で失敗した店で売上が増大した店はない、ということである。これは、すでに述べたように、上がり接客を無視してネットだけやっていればいいといっているのではない。情報流通と来店経路に2000年以降、根本的な変化が起こっているという時代認識を忘れて戦略を考えることはできないということである。ジャパンの閉店というショッキングな出来事は、われわれにそのことを教えているのではないだろうか。

ネット世界とは、虚構の世界である。所詮、虚構であり、現実世界の幻影である。スマホやパソコンの電源を入れ、URLをクリックして初めて映しだされる液晶の光の集まりである。本当に存在しているのはリアル世界であって、ネット世界は、それ自体としては二次的副次的な影にすぎない。にもかかわらず、現実に起こっているのは、この虚構の世界の陣地取りの結果がリアル世界の陣地を決定しているという紛れもない事実なのである。まことに逆説的ではあるが、この世界においてはまさにその逆説が現実となって大手を振ってまかり通っているのである。だから真実が見えにくい。常識的思考でいえば、実店舗の実態=リアルがその影であるネット世界をかたち作るということになる。しかし、現実にはリアルがネットをつくるのではなく、ネットがリアルをつくっているのである。ここを見違えることなく、われわれは接客業としての当たり前の人対人の契機も重視し、それとのバランスをとりながらも、ネット世界での決定的な覇権を勝ち取るために、われわれのWEB戦略を誇り高く確信を持って猛然と展開していくのでなければならないということである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考
※【ネット指名を重視する理由】キャスト求人ホームページより
ソープランドの世界では、一般にリターン=本指名を重視する一方で、ネット指名をあまり重視しない傾向があります。本指名こそは、本来の意味での指名であって、ネット指名などはフリーと同じだというわけです。
たしかに、ネット指名はフリーの一種と考えられます。したがって、本来の意味での指名である本指名に価値を置こうとする考え方はわかります。しかし、私たちR-GROUPでは、そうした本指名の重さを何よりも大切にしながらも、決定的にネット指名を膨大に獲得することに力を入れているのです。なぜか? ・・・・単純な真理です。それは、いかに実力のあるキャストさんでも、より多くのフリーにつかなければ、本指名につなげることはできないからです。逆にフリーのすそ野が大きく広がれば広がるほど、本指名につながるパーセンテージも上がってくる。 ホームページを通じた顧客の圧倒的な注目=膨大なネット指名の存在は、本指名を獲得しようとするキャストさんの努力を、店の側から下支えするものです。

また店舗単位で考えてみても同様、レベルの高い高級店にはしっかりと根付いた会員層のほかに、間違いなく、それを取り囲む膨大なネット指名=フリーの存在があります。店の営業を固定的なものとしてとらえるならば、少数の本指名・常連のお客様だけに価値を見出しがちですが、しかし、実際には顧客層は常に流動的であり、入れ替わっています。そう考えたとき、インターネットの海のなかからお客様が、次々と店舗を目指してくださることで、店は「勢い」を失うことなく、限りなくフル稼働にちかい再生産を続けていくことができるのだ、と考えるべきなのです。
来店顧客の9割は会員です。・・・という言い方をすると、一見さんの少ない安定した店というイメージがありますが、店全体の稼働率が60パーセント程度の店で、来店顧客の90パーセントが会員だとすると、実際の新規顧客の来店率はほとんどないということになってしまいます。会員のお客様も少しずつ目減りしていくことを考えれば、来店顧客全体のうち3割から4割程度は新規のお客様が占めているというのが、発展する店舗の健全な姿とはいえないでしょうか。
だからわれわれは、はっきりと「ネット指名を重視する」と言い切る。そして、ネットで圧倒的な注目を得るためのプロデュースに全力を上げていきます。・・・そうした努力を、キャストさん=店の両者の意識的な力でやっていきたいというのが、われわれの基本的なスタンスです。





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